東北自動車道・福島西ICから車で約1時間。普段から磐梯吾妻スカイラインをツーリングする機会が多く、沿道から間近に見える吾妻小富士(あづまこふじ・1,707m)の存在感は格別で、以前から気になっていた。調べたところ、駐車場から約10分で登頂できると知り、訪れてみることにした。

 福島方面から眺める姿が富士山に似ていることから「吾妻小富士」と名付けられた山。登山初心者でも火山ならではの景観や迫力ある火口を間近で楽しめるのが魅力だ。今回は、実際に吾妻小富士を訪れ、火口を1周する散策コースの魅力や注意点などを紹介する。

■噴気や火口の迫力、火山ならではの景観を体感

 浄土平(じょうどだいら)駐車場の脇から登山道を登り、噴火口までは徒歩約10分。階段が整備されており、噴火口までは歩きやすいルートになっている。

 階段の途中で振り返ると、吾妻小富士の隣にある一切経山(いっさいきょうざん・1,949m)の山腹にある大穴火口を望むことができた。大穴火口からは現在も蒸気や火山ガスが噴出しており、白い噴気が立ち上がる様子は遠くからでもよく見え、活火山ならではの景色を楽しみながらあっという間に登れた。

 駐車場から眺めることもできるが、噴火口付近まで登るとより間近に感じられ、その迫力に圧倒された。周囲に漂う硫黄の匂いも、活火山ならではの特徴だ。

まるで地球がえぐられたような大穴、その光景には思わず息を飲む

 噴火口に到着し、ゆっくり中をのぞき込むとすり鉢状に大きくえぐれた地形が広がる。草木の少ない荒々しい山肌からは、火山の力強さを間近に感じられた。

 噴火口は直径約500m、火口底までの深さは約70m。まるで地球がそのままえぐられたような景色が広がっている。普段はなかなか目にできない火山ならではの光景に、思わず息を飲む。

一番の見どころは360度のパノラマ、福島盆地や浄土平を展望できる

 噴火口を囲む火口壁を歩き始めると、遮るもののない360度のパノラマが広がる。歩みを進めるごとに、樋沼方面の緑豊かな景色や火山特有の赤茶けた岩が積み重なった荒々しい山並み、浄土平、福島市街地など、次々と表情を変える風景を楽しめた。

 コースは1周約1.5km、所要時間は約1時間。無理のない距離ながら景色の変化に富んでおり、歩き終えたときには十分な満足感を得られる散策コースだった。

■火口散策は時計回りに!  狭い道や強風時は無理のない行動を

噴火口を1周する道は柵がなく狭い場所もあるため、散策には注意が必要

 火口壁はすれ違いによる転落防止のため、時計回りで歩くことが推奨されている。

 気軽に立ち寄れるのが魅力だが、散策路は砂利や火山礫で滑りやすく、柵が設置されていない箇所や道幅の狭い場所もある。そのため、サンダルなどの軽装は避け、歩きやすい靴で訪れたい。

 短時間で登れるとはいえ、標高そのものは高い場所にあるので特に強風や悪天候には十分注意し、無理は禁物だ。