水が抜けた水田では、重たそうに頭を垂れる稲が金色に輝いています。実りの秋です。休日になると兼業農家の方々がコンバインで稲刈り作業に励む姿を見かけるようになりました。また、バッタなどの昆虫類が草原で目立つようにもなってきました。
この時期によく見かけるようになるのが「チョウゲンボウ」。ハヤブサ科に属する猛禽類です。秋の空を舞いながら、ハヤブサの仲間らしい華麗な狩りをする瞬間を目撃しました。
■チョウゲンボウとは
チョウゲンボウは、全国各地の平地や農耕地に分布し、川沿いの崖などで営巣することが多かったのですが、最近では都会にも適応し、駅前のビルや橋梁でも繁殖する姿がたくさん目撃されるようになってきています。主食はネズミですが、都会ではスズメなどの小鳥類を狙っているようです。
秋になると、昆虫類を食べることが増えるので水田や都会の川沿いなどにも多く現れるようになります。ハトくらいの大きさですが、ハヤブサの仲間らしく翼の先端が尖り、尾が長く、ひらひらと舞うように飛ぶのが特徴の猛禽類です。
■カマキリを次々と捕まえる狩猟術
この日も、都市郊外の水田にチョウゲンボウが現れました。電柱の上に止まったので望遠レンズを向けてみると、左足に昆虫を捕まえていました。拡大してみるとカマキリです。カマキリは秋の主役です。産卵のためにお腹を大きく膨らませた個体もよく見かけます。栄養たっぷりのカマキリは、チョウゲンボウの貴重なエネルギーとなります。
むしゃむしゃとカマキリを平らげると、すぐにまた飛び出しました。ネズミや小鳥ならまだしも、小さなカマキリではお腹を満たすことはできないのでしょう。空中でヘリコプターのようにホバリング(停空飛翔)をしたかと思うと、一気に急降下。再び舞い上がってきた時にはまたしてもカマキリを捕らえていました。そして、今度は飛びながら器用にお食事タイムです。カマキリの武器である大きな鎌が無残にももぎ取られて落下していくのが見えました。それにしても、空の上から小さな昆虫を見つけるなんて、視力がかなり良いのでしょうね。