東京では、観測史上最も早い開花となったソメイヨシノ。各地からサクラの便りが続々と届けられている中、東京都多摩地区の一部にだけ自生している貴重なサクラが見頃を迎えたという。谷戸の地形を生かした都立公園に、幻のサクラを探しに行ってきた。
■広々とした自然公園・都立小山内裏公園
都立小山内裏公園(おやまだいりこうえん)は、東京都町田市と八王子市の市境にある、多摩丘陵の地形を生かした都立公園である。70ある都立公園の中でも9番目に広い約46万m2という面積を誇る広々とした自然公園だ。付近の貴重な野草を集めた野草見本園があったり、多くの野鳥が生息したりする、アウトドア派にはうれしい公園の一つである。都心より気温が低い多摩地区に位置するこの公園でも、少しずつソメイヨシノが開花し始めていた。(取材日:3月21日)
■「タマノホシザクラ」とは
日本の代表的な桜ソメイヨシノは栽培品種であるが、小山内裏公園には野生のサクラがある。その中の一つが「タマノホシザクラ」だ。3月下旬から4月上旬にソメイヨシノより数日早く咲く早咲き桜である。なんとも美しい名前の由来は、花びらを支える「がく」が、星型になっていることによるらしい。
このサクラは、2004年に新種として認められたサクラだが、小山内裏公園付近の町田市・八王子市・多摩市にわずか180本ほどしか自生しないという。環境省によって「ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種」である「絶滅危惧1A類」に指定されるほどの非常に貴重なサクラなのだ。そんな貴重なサクラをすぐに見つけられるのだろうか。期待と不安を胸に歩き始めた。