5月に入り、気持ちの良い陽気が続くようになってきた。そんなある日、晴れ渡った川沿いの田んぼをのんびり歩いていると、前方の空気が霞んで見える。目をこすってみても変わらない。いったい何が起きているのだろうか。慌てて近づくと、なにかが群れとなって大騒ぎをしているのだった。

■田んぼの真ん中でミツバチが大集結!

数えきれないほどのミツバチが、桑の木の周りを飛んでいる

 とにかくものすごい羽音で小さな昆虫が飛んでいる。子どもの頃に昆虫図鑑で見た、外国でのバッタの大発生を思い出すかのような風景である。しかし、よく見ると、それはバッタではなくハチのようだ。田んぼの真ん中で何をしているのだろうか。どうやら近くに生えている高さ2mほどの桑(くわ)の木を中心にして飛び回っているようだ。

■変幻自在のミツバチ集団

桑の木に集まりだしたミツバチたち。重なり合っているため盛り上がって見える

 その桑の木に、茶色いかたまりができている。そのかたまりを形作っているのは、小さなミツバチたちだった。そして、それは一定の形を維持するのではなく、見る見るうちに流動的に変化していく。一つの生物体となって変幻自在に動く巨大アメーバのようだ。

まるで流れていく雲のように次々と形を変えていく。巨大アメーバのようにも感じられる