■たかが低山、されど低山
一方で、低山と言うと「低いんだから楽でしょ!」という印象もあるだろう。高山に比べれば景観はちっぽけで、山小屋もなく、ご近所散策みたいで非日常とは程遠いと、そんなことを言う人もいるし、登ったって自慢にもならないと言う人もいた。まあ、言いたいことは、わからないではないけれど。
でも、ぼくはそんな低山に対する先入観を変えたいと考えている。低山には低山ならではの景観があり、山小屋はなくても麓の温泉やキャンプ場が歓迎してくれるのだ。ゲストハウスを拠点にした山旅も楽しい。時には車中泊や野営もする。古道や山城はまち歩きを好む人にオススメしたいし、アルプスなどに通う人に知って欲しいトレーニング向けの低山もある。
そんなわけで、次回からは、日本各地で見聞した山旅の思い出をまとめていこうと思う。ぼくにとって“遠くの低山”へ出かけて行く楽しさは、登山と観光の美味しいところをミックスした日本再発見の山旅だ。読者のみなさんにとって、人生を変えるような素晴らしい低山を発見する機会になれば嬉しいし、あるいは「あ、週末は山旅に出よう!」と思ってもらえれば、ことさら嬉しい。