暑かった夏がまだ終わっていないかのような、とにかく今年は暖かな秋だった。それでも高い山では冬の足音がすぐそこまで迫りつつあり、標高が1,500mに満たない関東近郊の山でも、ほどなく紅葉が最盛期を迎えようとしている。
たとえば、標高の高い山々に負けないほどの大展望と紅葉を同時に楽しめる榛名山。ぼくにとっては、この季節になると必ず現地情報を調べる山のひとつだったりする。
■群馬県を代表する名山・榛名山
榛名山は、赤城山や妙義山と並ぶ「群馬の名山」としてよく知られる存在だ。しかし、その名は榛名湖を囲む山々の総称であり、榛名山という名の特定の山頂はない。最高地点は、1,449mの掃部ヶ岳(かもんがたけ)である。ここをもって榛名山に登ったという人もいるし、湖畔に佇むシンボリックな榛名富士をもってそう主張する人もいるのが面白い。それだけ多彩な山々が集まっているのが、榛名山の大きな特徴だといえるだろう。
登山口のひとつである榛名公園ビジターセンター駐車場の標高は1,087m。一番高いところと比べても、じつは思ったほど高低差は大きくないと感じる。ところが榛名湖を囲む山々を縦走する場合は、そのアップダウンの繰り返しがボディブローのように足腰に効いてくる。登山の経験値や体力が足りていないと、なかなかきつい山行になる。登山計画を立てるときは、その点を考慮しよう。
■軽めの山歩きと息抜きに最適
軽めのハイクを楽しむだけなら、この山域の象徴・榛名富士がぴったり。登山地図によると、駐車場からのコースタイムは登りで45分ほど。標高1,390mの広い山頂には360度の絶景が待っており、関東平野をとり囲む山岳の中に、遠く富士山の姿を確認することもできる。
下山は来た道をピストンするのもいいし、そのまま北側にある榛名湖温泉に下りて汗を流し、湖畔を歩いて戻るのも楽しい。奥の手として、ロープウェイもある。小さな山だけれど、想像以上の眺めと楽しさ。軽めの山歩きと息抜きに最適な榛名富士なのだ。