「片道1時間の雪山シリーズ」前編・飯盛山もチェック

 雪山登山初心者を連れて行くことを前提に、リスクの小さいコースで構成した「片道1時間で味わえる雪稜歩き」シリーズとして、今回は長野県小諸市の「高峯山」をとりあげたい。

 ここは雪深い浅間連峰の中の一座で、歩きやすさと絶景っぷりは本当にお見事。個人的には、長野県内では飯盛山、鷲ヶ峰、そしてここ高峯山に雪が積もると、そのシーズン最初の“雪慣らし”に足を運ぶことが多い。

 ほかの二座との違いがあるとすれば、高峯山の登山口となる車坂峠に日帰りで入浴することができる“日帰り温泉”があるという点。雪山で冷えた身体を下山後すぐさま温められるのは、とても大きな魅力だと思う。もうこれだけで行きたくなるというのが、人の性(さが)というものだろう。

■八ヶ岳と奥秩父、そしてここからも富士山が!

高峯山の登山口は、高峯神社の鳥居から。冬はこの通りだが、夏は高山植物が豊か

 高峯山の登山口は、雪山シーズンに抜群の人気を誇る黒斑山と同じ車坂峠にある。この峠の東にあるのが黒斑山で、ほどよい積雪のときに出現する“ガトーショコラ”の存在でよく知られている山である。

 以前、そのガトーショコラについて取り上げた記事「浅間山連峰の雪山2選」があるので、そちらもぜひ参考にご覧いただきたい。

 一方で高峯山は、車坂峠を挟んで西側に位置する山。その山頂は南側に絶景が開けている。標高は2,106mあるものの、登山口となる車坂峠が1,973mと高い。そのため、片道1時間というコースタイムで山頂に行くことができるわけだ。

前の人が歩いたトレースを辿る。もちろん地図でもルートの確認はすること

 スタートは、高峰高原ホテルの裏側にある高峯神社の鳥居から。20分ほどで樹林の急登を乗り越えると、視界のひらけた稜線に出る。ここから先は、いくつかの起伏を乗り越えながら絶景を楽しむ道のり。その起伏が落ち着き、比較的なだらかな地形が続くようになると、山頂はもう近い。

 途中で高峰温泉に向かう分岐が現れる。そちら側からも登ったことがあるけれど、山の北面にあたるため、雪の積もり方は深く、溶け方は遅い。そもそも浅間連峰の山域全体が雪の多い山ばかりなので、春までは高峯山もしっかりした雪山装備が必要となる。