<八ヶ岳ブルー後編「網笠山」もチェック>

 今年は本当に雪が多い。スノースポーツを楽しむ人にとってはまたとないシーズンで、SNSは雪稜や雪原の景色で相変わらず賑やかだ。ここのところ自宅に籠って仕事ばかりしているものだから、雪にまみれて破顔する友人知人を見ているだけで息抜きになるし、さまざまな山域の雪の様子が手に取るようにわかるため、ぼくにとっては情報収集としても助かっている。

 今月は、青空に映える雪山を最上級に称えるように、山名に「ブルー」をくっつけて投稿される写真をよく目にする。試しに検索してみると、赤城ブルー、浅間ブルー、谷川ブルーに白馬ブルーなどなど、全国各地の山がブルーに染まっているかのよう。中でも「八ヶ岳ブルー」は大人気で、ぼくも毎年のように八ヶ岳の南北で紺碧の空を楽しんでいる。

 というわけで、今回は「八ヶ岳ブルーに会いに行く」をテーマに、前編では樹林と雪稜を楽しむことができる北八ヶ岳の「天狗岳」を、後編では山域随一の絶景を誇る南八ヶ岳の「編笠山」を取り上げたい。どちらも中級レベルの雪山だから、天候条件さえ整えば雪山登山初級者がステップアップを目指すのにもちょうどいい山だ。 

■東西2つのピークで異なる山容と展望が魅力の「天狗岳」

向かって右のなだらかな山容が西天狗、左に屹立する岩峰が東天狗。それぞれ個性が異なる

 「八ヶ岳」は南北におよそ60km、東西に25kmという巨大な連峰だ。その名に表れている通り、いくつもの山岳がひしめき合うようにして立ち並ぶ。ひとつの山塊が南北で異なる魅力を持つことは、登山をしない人にとっては知りえないことだろう。ちょうど中間に位置する夏沢峠を境として、南八ヶ岳と北八ヶ岳に分けて語られることが多い。

 ここに取り上げるのは、西天狗、東天狗と呼ばれている2つの山頂を有する天狗岳。名峰ひしめく北八ヶ岳の中でも、積雪期も登山者に人気の山だ。登山口はいくつかあるけれど、ここを横断する周回コースがとても良くて、ぼくは雪が降るとまっさきに“慣らし”に訪れている。