今回は、南八ヶ岳の魅力に迫りたい。取り上げるのは八ヶ岳の最南端にある編笠山。眼下は甲府盆地へとつながる地層の溝が走り、遮るもののないスペクタクルな眺めが楽しめる山である。
■西岳との周回コースが楽しい「編笠山」
編笠山は、赤岳や天狗岳、白駒池や双子池、北横岳や蓼科山なんかに比べると地味な存在かもしれない。八ヶ岳の玄関口として利用される茅野よりも、さらに南に位置する富士見町や小淵沢あたりに近い。これはつまり「東京方面から一番早く到着できる八ヶ岳」ということでもある。
オススメは西岳を経由して編笠山を周回し、再びスタート地点に戻るコース。長大な尾根が続くため、夏場でもそれなりに歩き応えがあることと、裏側から編笠山に入っていく感じがとても気に入っている。冬場は体力と経験を要する、雪山中級者以上が対象のルートとなる。
このルート取りの場合、登山口は富士見高原スキー場の奥からとなる。不動清水から西岳を目指し、青年小屋から編笠山を経て下山すると、コースタイムは約7時間半。登りはじめは早ければ早いほどいい。ここではちょっとばかり時計を気にしておく必要があるだろう。体力に自信がない場合は、富士見平から山頂を目指すと少し短いルートが設定できる。
西岳から登ると、編笠山の背後に富士山が顔を覗かせていることに気がつくはずだ。どちらも広い裾野を持つ似たような山容で、編笠山のたたずまいの良さにあらためて感心する。西岳のポジションが絶妙だから、ここでしか見ることのできない景色を目に焼き付けよう。