この数年、パックラフトやSUP(サップ)という折りたためる船が台頭し、川を気軽に楽しむ人たちが増えてきた。ことパックラフトにいたっては、わずか3Kg程度と軽量で丸めたら片手で持てるほどコンパクト。都心の狭いマンションでも収納に困らないとあって、今現在もプチブームが続いている状況だ。

■川を下るだけじゃもったいない!

パックラフト。用途によって種類も様々だ

 しかし、お気軽になった分、サクッと川を下ってそのまま電車で帰ってしまうという人が結構多いように感じる。いわゆる、「川下り=アクティビティ」という感覚なのだろう。もちろん、それはそれで全然いい。でもね、そんな人たちにどうしても言っておきたいことがある。

「それ、超もったいねぇよぉぉぉッッ!!」と。

 忙しい現代人はなかなか休みも取れず、限られた時間内でガッツリ川下りだけを楽しみたい気持ちもわかる。しかし、それはいってみればワンナイトラブ的な感覚があって、豊かな時間って部分が不足しているように思うんです。相手の一面性だけじゃなく、意外な側面なんかを知って、散々ギャップ萌えしてからの方がデートはより豊かなものになるはず。

 つまり、川をただのアクティビティの場だけで終わらすのではなく、もっと多面的な目線で楽しんで欲しいんです。それが実践できるのが、「川を旅する」というスタイルなのであります。

■川を旅するということ

お気に入りの川原でのんびり。至福の時間

 川旅とは、その流域の風土や文化、暮らす人々、周囲の自然だったり川の中の生態系まで、丸ごと肌で感じて楽しむ旅スタイルのこと。川下りは、その旅を豊かにするための一つの手段に過ぎません。極論、川を下ることすら必要なかったりします。

 気持ちのいい川原で昼寝をかまし、橋から川を覗いてるおじいちゃん(良い川では必ず一人は出くわす)と談笑し、観光地でもなんでもない街をぶらつき、地元の銭湯に入り、ひなびた居酒屋で地のものを食って一杯飲んで電車で帰る、ってのも立派な…というか最高の川旅だ。

 とにかくお目当ての川にピンを立て、限られた時間内でいかに総合的にその流域の息吹を感じられるかが勝負。もちろん、川下りをしたり、川原で野宿して焚き火なんかしようもんなら、その旅はさらに深く豊かなものになっちゃいます。