師走の足音がすぐそこに迫る晩秋のこの季節。忙しない日々に振り回されてしまい、週末はゆっくり過ごして身心を休めたいと自宅に籠ることもしばしば。そんなときは、来たる雪山シーズンに向けて道具のメンテナンスなどしてみるものの、やはり美しい紅葉の森の中を歩きに出かけたいなあと、気もそぞろになる。
最盛期の紅葉はそろそろ落ち葉となり、登山道をフカフカに埋め尽くす頃合いだ。その落ち葉の上をザクザクと歩くのが、晩秋から初冬にかけた山歩きの楽しさなんだよなあ……。
というわけで、駐車場からトータル1時間以内で楽しめる“落ち葉の道”を目指して、ちょっと遠くまでドライブなんていかがだろう。日本の東西からひとつずつ、この時期にピッタリの場所を選んでみたい。
■【宮城県・鳴子】日本屈指の紅葉と温泉をセットで楽しみたい「潟沼」
宮城県の北部に位置する鳴子。真っ先に思い浮かべるのは、温泉の質の良さと峡谷の紅葉の美しさだろう。同じ県北を代表する栗駒山は「神の絨毯」と称されるほどに紅葉の美しい活火山だけれど、ここ鳴子もそれに負けないくらい錦繍に染め上がる。
多彩な泉質で知られる鳴子温泉をはじめとした数々の温泉郷には全国にファンが多く、地元の人のみならず県外からも足を運ぶ人が絶えない。
鳴子は火山と関係が深い地域で、その活動によって形成されたのが潟沼(かたぬま)だ。
火口湖とも、あるいは溶岩による堰き止め湖ともいわれ、湛える湖水は世界有数の酸性度。太陽の光を受けてエメラルド色に輝く水面に、色彩豊かな紅葉の山肌が映し出される光景は、まさしく神秘そのもの。来てよかったと思うこと、間違いなしである。
駐車場は湖の入口にあり、すでにそこからパンチのある絶景に驚く。青々と水を湛える湖畔には遊歩道が整備されていて、ぐるりと一周しても30分とかからない。こんな手軽なのに、景色は最上級である。
ちょうどこれからの季節には、頭上の樹々の葉がすべて落ちる。色とりどりの落ち葉で埋め尽くされた道を、湖と山の自然美の共演を眺めながら歩けるわけだ。これが本当に贅沢で、たまらない気持ちよさ。東北の山間部では、すでに雪が舞い始めている。鳴子に雪が訪れる前に、ぜひ歩いてみてほしい。
<低山トラベラー厳選。鳴子周辺の立ち寄るべきスポット>
・【温泉】鳴子駅近くなら「早稲田桟敷湯」。熱めのお湯が気持ちいい!
・【温泉】ちょっと足を延ばすなら雰囲気も湯もよい「藤島旅館」。500円の風呂が◎
・【温泉】中山平の「しんとろの湯」は、まさにとろとろ。熱いけどクセになるとろみ!
・【蕎麦】「藤治朗」のとり蕎麦。しんとろの湯の後にここで昼食がぼくの鉄板コース!
・【文化】「桜井こけし店」は、伝統的なものからクリエイティブなものまで揃う名店。わが家にもいくつかお迎えした。お土産にもピッタリ!
・【アウトドアショップ】栗原市を通るなら「アワーシング」をスルーしてはいけない!
・【アウトドアショップ】仙台市を通るなら黙って「Enstyle」へ。衝動買い確定!