2022年のスタートである。昨年暮れの強烈な寒波の南下によって、日本各地の山間部は雪に恵まれた。降りたての雪を求めて各地に参じた山仲間たちからは、日々フカフカの雪の便りが届き、年が明けてもSNSのタイムラインは雪山風景で賑やかだ。

 ならばと、今回は新年の山初めによさそうな雪山に思いを馳せる。せっかくだから、山の神さまに初詣もできる山がよい。というわけで、前編では霧氷が美しい群馬県のほぼ中央に位置する「赤城山」を、後編では抜群の展望を誇る南アルプスの前衛峰・長野県の「守屋山」を取り上げようと思う。

■「霧氷」と「大沼の全面氷結」が圧巻の赤城山

霧氷の美しさは関東屈指の赤城山。タイミングがよければこの通り

 たくさんの登山コースがある赤城山の中で、もっともポピュラーなのが黒檜山(くろびさん)登山口からスタートするコースだ。登山計画としては、黒檜山に直登して戻る「ピストン」でもよし、駒ヶ岳登山口から駒ヶ岳を経由して黒檜山へ向かう「縦走」もよし。

 個人的には、毎年のように雪歩きに体を慣らすために歩いている後者のコースがおすすめだ。快晴なら筑波山まで見渡せる尾根道を、雪をギュッギュと踏みしめながら歩く気持ちよさたるや。前者の黒檜山直登コースはなかなかの急坂を登らされるものの、霧氷の美しさならこちらの道に分がある。

絶景スポット付近から望む大沼の西岸と群馬の美しい山並み

 ちなみに、「赤城山」とは山域を形成する火山群の名称であり、同名の峰が単独で存在するわけではない。最高峰は標高1,828mの黒檜山である。その頂は東と北に開けていて、栃木県や茨城県方面の眺めが抜群。

 さらに山頂碑には「絶景スポット2分」とある。導かれるまま稜線を歩いていくと、ほどなく西と北に広大な眺めが広がるではないか。そこには新潟県や長野県との境にまたがる谷川連峰などの巨大な山塊が陣取っており、より深くより白く雪に覆われた荘厳な山々の姿を認めることができるのだ。

 装備として気を配りたいのは、予備のグローブを必ず持つということ。目が痛いくらいに眩しい雪山だからサングラスも必須。ゴーグルをザックに忍ばせて、急な悪天候への備えも怠らないように。そしてアイゼンは、雪と凍結の程度によって「爪」の数や形状を使い分けるべし。1月であれば、8〜12本爪のものが望ましい。