■意外な場所でヒナカマキリをついに発見!
もうこれでいなかったら今日は帰ろう、と思い最後のシャカシャカをしましたが、やはりダメ。仕方なく近くの休憩所で休むことにしました。この時期、ヒナカマキリは産卵のためにトイレや建築物の壁・石垣でも見ることができるとのことでしたので、それまでもあちらこちらを念入りに見てきましたが、その姿を確認することはできていませんでした。
しかし、休憩所のウッドデッキの手すりを見た時、今までとは違う風景が目に飛び込んできました。手すりの下に、茶褐色の生き物が見えたのです。「もしや!?」 小走りで駆け寄ると、そこにはなんと小さなカマキリがいたのです。
「うほっ、ヒナカマキリだ~!」 周囲に誰もいないことをよいことに、思わず感嘆の声を上げていました。ヒナカマキリは俊敏な動きをするとの情報を事前に得ていたので、証拠写真を撮るとすぐにカップの中に誘導し、一時捕獲しました。
■キュートなお顔に頑強なボディ
落ち葉を軽く敷いたバットの上に乗せると、ヒナカマキリは落ち着いた様子だったので、じっくり観察です。茶褐色の体、翅は伸び切っていません。他のカマキリなら幼虫レベルです。それでも、これがヒナカマキリの成虫の姿です。ぷっくりふくれた腹部からメスであることがわかります。
ヒナカマキリは、日本最小のカマキリではあるものの、思ったより大きいなという印象でした。そのため、100円玉に乗せてみました。鎌以外の四本脚が余裕で乗るほどの大きさ。やはり小さなカマキリであることに違いはありません。パッと見ればかわいらしい顔をしています。
しかし、その目つきや動きをよく見ていると、カマキリならではの獰猛さを十分に感じ取ることができます。鎌をぐっと引き付けているさまは、まるでしっかりとガードを固めたボクサーのようです。いつ、そこから強烈なストレートパンチが飛び出すかわからない緊張感が漂います。また、周囲を見回しながら歩く姿は、小さいとはいえどもやはり肉食昆虫。獲物はどこにいるのか? という飢えた目つきに、筆者は圧倒されました。
間もなく産卵期。栄養を蓄えるために、多くの獲物を捕らえるはずです。立派な卵を産んで次世代に命をつないでほしい、という願いを込めながらヒナカマキリを元の場所に放ち、現地を後にしました。