■スズメバチにそっくり! 巧妙に姿形を擬態した「じゃない方」
自然界にはスズメバチ(ハチ)によく似た虫たちも多くいます。“虎の威を借る狐”かのように、見かけだけで害のないような虫も多いですが、なかには厄介な存在もいます。
例えばアブの一種でサイズや色合いなど、スズメバチそっくりの見た目のアカウシアブ。酷似しているので飛行中では見分けがつかないでしょう。スズメバチと違って、おとなしくじっとしていると身体、特に肌を露出している部分に止まって発達したアゴで噛みつきます。痛いうえに後から痒みが出ることも。
スズメバチとは羽音が違う(軽い)ので、慣れてくるとわかるのですが、迂闊に振り払って間違えると大変です。露天風呂で入浴中に襲ってくることも多いですね。
■刺されたときの応急処置は?
刺されたときの対処はスピード命。油断大敵、予期しきれない危険に対して最低限の準備は必要でしょう。
有効なものとして、エピペン®(アナフィラキシーショックに対し医療機関で診療を受けるまでの間、症状の進行を一時的に緩和してショックを防ぐための補助治療剤)がありますが、処方にはあらかじめ医師の診察を受け、使用法の説明を受けることが必要となっています。
筆者は救急車が来ない(呼べない)ようなフィールドに入るとき、最低限の準備はファーストエイドキットに入れておくようにしています。ポイズンリムーバーは必ず携行し、バックパックの取り出しやすい場所に収納しています(ポイズンリムーバーの有効性を疑問視する意見もあります)。ただし、手の届かない箇所や見えない場所を刺されるとお手上げです。実際何度か刺されたことがありますが、都合よく処置しやすい場所はむしろ少なく、首や肩の後ろ、顔面などが多いです。仲間がいればいいですが、一人だと対処しづらい場合も多いです。
いずれにせよ、これらはあくまでも応急処置です。速やかに下山して医療機関で診療を受けることが大切です。クマの場合もそうですが、人間は彼らの生活している場所(キイロスズメバチなど、住宅にも好んで巣を作る共生しているパターンもあります)にお邪魔している侵入者だということを忘れずにしたいものです。