■晴れ続きでもダムの放流に注意!

信濃川水系・千曲川「西大滝ダム」。少しずつ水量を抑えながら放流しています。それでもこの水量です

 ダムの存在意義を今一度確認してみましょう。まずは我々の生活を維持するための役割があります。発電や灌漑の用途や水道を含めた“水瓶”として、お世話になっていない人はいないほど、現代社会においてはなくてはならないものになっていますね。

 さらにダムは、大量の雨が降った際に下流域の河川の氾濫を防ぐ役割も果たしています。梅雨時や台風などで激しい雨が降り続くと避難指示が出るような川の中流域に筆者は住んでおり、その度にひやひやしつつもダムのマネージメントに感謝している部分もあります。

 ただし、雨後に無警戒に川へ近づくのは避けた方が賢明です。国土交通省の『川の防災情報』内には、以下のような記載があります。

・ダムは洪水を全て貯め込むためにあるものだ、と思いがちですがそれは誤りです。

・多くのダムの場合、大雨が降ってダムに流れ込む水の量が増えても、下流の川が溢れない程度の水量であればそのまま流すことになっています。しかし、下流の川が溢れてしまいそうな水量に増え続けると、ダムは溢れない水量に抑える役割をします。これが洪水調節です。

・ダムで水量を抑えるとき、抑えた分だけダムに水が貯まり貯水量が増加します。雨が止んで川の水が引き始めると、それまで貯め込んでいた水を加えながら流し、次の大雨に備えます。

・ダムは、大雨が降って一気に流れる危険な水を貯め込み、安全な水量に減らしながら時間を掛けてゆっくり流しています。

※国土交通省 『川の防災情報』(https://www.river.go.jp/index)より抜粋。

 つまり、前述の通り、降水量(貯水量)次第で川が増水するケースがあるということです。ここに記述されている“安全な水量”とは、あくまでも流域で一般的な日常生活を送る上でのことでしょう。

■貯水率や放流量、ダムのサイトをチェック!

利根川上流にある「藤原ダム」。川に出かけるときは上流部の情報をチェックしておきたい。出典『国土地理院(電子国土Web)』

 ダムのない川が希少なほど、日本の河川にはダムがあります。取水堰・堰堤もありますね。地図(地形図)を見れば、川のプロフィールがわかります。国土交通省のサイト以外にも最近では各地でダムの情報がチェックできるようなサイトが用意されています。水辺のアクティビティを楽しむのであれば、(上)流域での降水量を確認すると同時に貯水率や放流量なども気にする習慣をつけておくといいかもしれません。

 流れを遮るのはダムなどの人工的なもの以外にもあります。倒木や土砂崩れなどで一時的に川の流れが堰き止められて“天然のダム”化しているときも。それが決壊して水や土砂が時間差で襲ってくるときもあります。平水なのに(普段は澄んでいる流れが)濁っている、濁り出した場合は要注意です。登山同様、上部(上流)への注意は常に怠らないように心がける必要がありますね。

 完全に安全というのは、日常生活を含めて難しいですが、少しでもリスクを減らしたいものです。最新の情報の入手と現場での慎重な行動が必要ですね。