■お待ちかねの答え合わせ! 「意外な正体は」

 さて、皆さん「シルエット探し」は解けましたか?  普段、よく見かける生き物であっても、シルエットになるとわからなくなるものもいたかもしれません。また、半透明の影が何を意味しているのか、イメージを膨らませて考えられましたでしょうか。

 では、答えを見ていきましょう。

オンブバッタ。ずんぐりした体に尖った頭が特徴です

 【シルエットNo.1】の正体は、オンブバッタです。まだ、翅が伸び切っていない幼虫ですが、大人になると、その名の通りおんぶをしている姿をよく見るようになります。オンブバッタは、他のバッタに比べ、交尾の前後でもオスがメスを「独り占め」するためにおんぶをする期間が長いので、その名が付きました。似たバッタに、ショウリョウバッタがいますが、オンブバッタの方が小さくてずんぐりしている体型です。目の下から体の縁に沿って白いブツブツがあるのも特徴です。

ニクバエの一種。葉の表と裏の影が完全に一致しているのが、よくわかりますね

 【シルエットNo.2】の正体は、ニクバエの一種です。2枚の薄い影は翅の影ですが、わかりましたか。影をよく見ると、汁を舐めとる口(口吻)もきちんと映っています。影を見るだけでも、細かい観察が可能なのですね。今は、私の生まれた昭和の頃に比べて、日本の生活環境が衛生的になったので、以前に比べて目にすることが減ったように思います。

ニホンアマガエル。写真を撮っていたら、ご本人様が自ら正体を現しました!

 【シルエットNo.3】の正体は、ニホンアマガエルです。エイリアンの触手のように見えたのは、足指と吸盤でした。日が強いともっとくっきり映るのでわかりやすくなりますが、日が陰ると影がぼんやりするので難しくなります。でも、その方が一層楽しみも増すものです。

 ニホンアマガエルは、水辺や田んぼなどで普通に見られる生き物なので、子どもたちの良い遊び相手にもなりますが、皮膚からは微量の毒を出しています。観察中に手で目を掻いたり口に入れたりすることは避け、触った後は必ずしっかりと手洗いをすることが大切です。

アブラゼミの抜け殻。透明な目の影から、抜け殻を想像できたでしょうか

 【シルエットNo.4】の正体は、アブラゼミの抜け殻でした。上下が逆になっているので、迷った方もいらっしゃるかもしれません。カニの爪のように見えたのは、アブラゼミの幼虫が土を掘るための立派な前足でした。葉の縁の丸い透明な影は、目の部分ですね。ハエの翅同様、透明な部分も薄い影になって見えてくるのがおもしろいです。

 「シルエット探し」はお楽しみいただけたでしょうか。影を探そうとすると、つい上の方ばかり見上げてしまうことになりますが、意外とアジサイくらいの高さの葉の方が影も正解も見つけやすいものです。特に、小さなお子さんがいらっしゃる場合は、もっと低い位置の影を見つけるとよいでしょう。また、高い場所の影の場合、その主の正体が全く見えないこともあります。その場合でも、自分の考えをワイワイガヤガヤと言い合って大いに盛り上がるものです。

 また、見つけた影と正解の写真を撮りためておき、パウチフィルムなどにして保存をしておくと、雨の日や冬でも楽しめるグッズとして活躍します。自然観察会や学校の授業でも活用できるのではないでしょうか。

 木陰を十分活用し、熱中症のリスクを下げながら、残暑の厳しい初秋の自然に目を向ける「シルエット探し」。ぜひ、皆さんもチャレンジしてみてください。