この夏、全国各地で恐竜展や昆虫展などのイベントが開催されました。なかでも、大きな反響を呼んでいるのが、上野の国立科学博物館で開催中の特別展「昆虫 MANIAC」です。夏休み中でもあり、子ども連れのファミリー層を中心に、大勢の見学者でにぎわいました。
研究者のマニアックな視点による展示やマニアックな標本がてんこ盛り! 最新の研究成果も踏まえた多様なムシの世界をのぞいてみませんか。
■国立科学博物館での6年ぶりの「昆虫」展がついに開催!
国立科学博物館では、今回のような「昆虫」に関する特別展は、2018年以来実に6年ぶり。前回は見学者が44万人を突破する大人気でしたが、今回も約2年間の準備期間を経て、満を持しての開催となりました。多くのファンが待ち望んでいたようで、夏休み中はチケットを予約するのも大変な状況でした。
この特別展は、見どころがたくさんありますが、その一つが2mを超えるムシの巨大模型が5体も展示されていることです。アカムシを捕らえるギンヤンマのヤゴの大きな下あごがグイッと伸びている姿はリアルで、研究者の方々が、細かい部分までかなりこだわって作られた「逸品」なのがよく伝わってきます。じっくりと味わいたいものです。
■5人のムシ博士によるマニアックな視点で解説
「昆虫 MANIAC」は、国立科学博物館でムシを担当している5人の研究者全員が集結した初めての展示なので、その気合の入りようったらありません。トンボ・ハチ・チョウ・クモ・カブトムシの5つのコーナーで、多様なムシの奥深い世界が紹介されていました。
ムシといえば、標本が思い浮かぶ方が少なくないでしょう。確かに数多くの標本が展示されていましたが、今回の展示は、単にその姿・形を見せるだけでなく、「多様なムシの世界」を丁寧に教えてくれる興味深いものでした。
例えば、アメリカで13年周期で発生する「ジュウサンネンゼミ」と、17年周期で発生する「ジュウシチネンゼミ」の発生が221年ぶりに重なる(13と17の公倍数)今年の様子をさっそく取材し、その声を聞くことができるような体験コーナーが設置されていました。
また、一つの個体の中にオスとメスの特徴が同居した、珍しいカブトムシも展示されていました。「ギナンドロモルフ」というそうですが、そのCTスキャン画像もあり、体内でオスとメスが複雑なモザイク状に混ざりあっていることもわかりました。昆虫の内部まで調べ上げているところがなるほどマニアックです。
ブラボーマウンテン読者の方々には、登山を愛好する方も多いと思いますが、高山のチョウとガについて説明されているコーナーもあり、必見です。チョウとガが分け隔てなく一緒に展示されている様子に、研究者の思いを感じ取ることができました。また、同じ国立科学博物館の日本館では、企画展~高嶺の花たちの多様性と生命のつながり~「高山植物」も開催されていますので、そちらも併せてご覧になることをおススメします。