■北米産まれのピンク色の蛾
近年、そんな花壇でよく見かけるようになったのが、大きさ1cmほどの小さな昆虫です。ショッキングピンクでハート型。昆虫が苦手な方々にも一気に人気が出そうなほどのキュートさです。
この昆虫の名前は「アメリカピンクノメイガ」。思わず、??マークが頭を駆け巡りそうな名前です。”アメリカピンクの名画”というふうに区切ってしまうと、何やら全く違う話になりそうですが「ノメイガ」という「蛾」の仲間なのです。姿だけを見ると、前述したイチモンジセセリが「蝶」で、このアメリカピンクノメイガが「蛾」なんてちょっと意外に思う方が多いかもしれませんね。
この蛾は、名前の通り、アメリカから来たピンク色の蛾です。原産地は北米南部やメキシコあたり。日本では、2019年に岐阜県で初めて発見されたそうですが、あっという間に全国に広がったようで、今では、公園の花壇等でよく見かけるようになりました。人間に対しても無毒で、観察にも適しています。
とは言っても、普段は葉の裏に隠れてじっとしていることが多いので、少し見ただけでは見つけらないかもしれません。そんな時は、花を傷つけないように、そっと葉や茎に手を触れると、驚いて飛び出してきます。小さな蛾ですから、そんなに飛翔力が高いわけでもなく、通常数十センチから数メートル程度移動して近くの植物に止まりますので、観察は簡単です。
■ブルーサルビアがお気に入り
アメリカピンクノメイガは、サルビアの仲間を食草としているようですが、なんといってもブルーサルビアが大好きなようです。ブルーサルビアがある花壇には、必ずいるといっても過言ではありません。それどころか、ホームセンターで販売しているブルーサルビアでも見つけたことがあります。卵か幼虫がついていて、店頭で成虫になったのでしょう。さすがにその時は、驚きましたが、その図太さが日本中に広まった理由の一つなのかもしれません。
街中では、若者がリュックにぬいぐるみをいくつもぶら下げて闊歩しているのをよく見かけます。なかでも、モフモフなシマエナガは人気のようですね。でも、ピンク色でハート型のアメリカピンクノメイガも、女子受けしそうなフォルムの持ち主。奇特なデザイナー氏が、ぬいぐるみを作ったりキャラクター化をしたりしてくれれば、爆発的に注目を浴びそう……。そんな気がしているのは、私だけかもしれません(笑) 「蛾」のイメージを一気に覆すほどのパワーを秘めているのでは? そう思うのですがいかがでしょうか。