■「最強昆虫」は本当なのか? 小さなアリに敗北するまさかの姿を目撃した

飛んでいた昆虫を捕らえ木道の上で体液を吸い取る、王者の貫禄たっぷりのシオヤアブ。しかし、その獲物に堂々と近づいていくアリの姿が
先日、都市郊外のある公園を散策しました。すると、木道の上にシオヤアブがいるのを見つけました。そっと覗いてみると、やはり、小さなハチのような虫を捕まえています。


しばらく眺めていると、一匹のアリがするするっと近づいてくるやいなや、シオヤアブが食べている獲物の翅を躊躇することなく引っ張り始めました。しかも、真正面から堂々と獲物を奪いにかかったのです。
「これは大変なことになるぞ」
アリは飛ばないため、通常ならシオヤアブに襲われることはありません。しかし、大切な獲物を「最強」と言われる相手から横取りしようとしているのですから、シオヤアブの逆鱗に触れてもおかしくありません。その後の展開を想像すると私の方が緊張してドキドキしてきました。
ですが、なんということでしょう。シオヤアブは抵抗することもなく、あっさりと獲物を小さなアリに引き渡してしまったのです。しかも、そのまま飛んで逃げていくというありさま。これが、「最強昆虫」として名の知れたシオヤアブの本当の姿なのでしょうか。自分よりもずっと体が大きくてガッチリしているカブトムシに襲いかかるという、昆虫少年たちを虜にしてしまうような話は都市伝説だったのでしょうか。目の前で起きた事件とのギャップに、そして、ムシヒキアブとしての矜持を感じられない姿に私は戸惑うばかりでした。
皆さんも、散歩やハイキングの途中で、白いポンポンをつけたムシヒキアブを見つけたら、「最強昆虫」と言われていることが真実なのかどうか、自分の目で確かめてみてください。私も、できれば彼らの名誉挽回となるような、勇猛果敢な姿の目撃者になりたいです。