神奈川県の面積の1/6を占める丹沢(たんざわ)山地。その代表格である、表丹沢の主峰の一つに塔ノ岳(とうのだけ・1,491m)がある。
メインルートの「大倉尾根(おおくらおね)」は全長約7kmに及び、その標高差はなんと約1,200m。これをひたすら登り続けるのが特色で、通称「バカ尾根」。長大な階段と単調な勾配に「心を無にして一段ずつ」が求められる一方、見晴茶屋、駒止茶屋(こまどめちゃや)、堀山の家、花立山荘(はなたてさんそう)、尊仏山荘(そんぶつさんそう)と山小屋が点在し、冬でも営業している点や、ベンチが多いのが安心材料。
大変なコースながらファンが多いのも特徴で、登山者同士が互いを励まし合いながら、声を掛け合い進む連帯感は、大倉尾根ならではだ。
過去7度の塔ノ岳登頂を果たした筆者のおすすめ時期は、何と言っても12月の初冬シーズン。相模湾のきらめきや富士山の大展望、霜柱と落葉のサクサク路面など、季節の変化も楽しめる。体力測定や脚づくりの「トレーニング登山」としても最適で、登頂の達成感には中毒性がある。今季の冬の丹沢山行が今から楽しみでならない。
■大倉尾根で表丹沢を満喫するコース
●表丹沢の玄関口「大倉バス停」へのアクセス
公共交通機関でアクセスする場合は、小田急線・渋沢(しぶさわ)駅から神奈中(かなちゅう)バスで終点の大倉バス停へ。本数は多いが利用者も多いため、早めの行動を心がけよう。ハイシーズンの週末などは臨時便も出るほどの人気だ。
大倉バス停にはトイレ・水場・売店が整い、帰路もそのまま乗車できて動線がシンプルなのがありがたい。
車でのアクセスは秦野市街から県道経由で大倉駐車場、または周辺のコインパーキング利用が一般的。登山口周辺の民家が駐車スペースをワンコイン程度で貸し出してくれているので、それを利用するのも手だ。やはり週末は満車になりやすいので、始発バスの時間帯の到着が安全。冬季は路面凍結に注意し、夜明け前は特に慎重な運転を心がけたい。
なお、丹沢の山々は総じて行動時間が長くなりがちなので、アクセス手段を問わず、朝早くからの出発が望ましい。
●コースタイム
【大倉登山口から塔ノ岳往復コース】所要時間
大倉登山口 (0:00) → 駒止茶屋 (2:00) → 堀山の家 (2:30) → 花立山荘 (3:50) → 金冷シ (4:10)→塔ノ岳山頂(4:30)→ 大倉登山口(7:00)
歩行距離:約13.0km
累積標高差:登り1,314m、下り 1,314m
合計所要時間:7時間