■とにかく炎だけを見ていたいなら

日本初となるスタンディング焚き火台。muraco「スタートーチ」。焚き火鑑賞に特化したモデルだ。ランドマークとしても使える

 とにかく炎だけを見ていたいなら、機能性にこだわらず、シンプルな造りの焚き火台を選ぶのも選択肢。述したとおり、ほとんどの焚き火台はグリルにもなる兼用モデルが多く、純粋に焚き火だけを楽しむための専用モデルは少ない。

 まず、火床がフラットなものほど薪が組みやすい。個人的には、仲間と火を囲み、明日には忘れてしまうようなくだらない話をする時間が好きなので、機能性は無視して薪の組みやすさで焚き火台を選ぶこともある

 もし財布に余裕があれば(贅沢な話ではあるが)、焚き火鑑賞用と調理用に役割を分けて2台焚き火台を揃えられたらベスト。肉や魚を焼くと、どうしても油や汁が垂れて火床が汚れてしまう。そのまま薪を燃やすと、木の香りの中に食材の匂いが混じって、げんなりしてしまう。同じ火ですべてを行わなくてはいけないルールはないので、調理用グリルタイプと観賞用タイプを分けてみるといいだろう。

 

『THE HIRAMATSU軽井沢御代田』で著者がプロデュースしたオリジナルの焚き火台

 海外ではアート色が強い焚き火台もあり、機能性よりもデザイン性を重視したものもある。日本の焚き火台も少し遊び心があっても良いかなと思い、海外のものを参考させてもらっていくつかオリジナルの焚き火台で作らせてもらっている。人工的な造形美と重なることで、より炎が際立つ。近年ではこういったデザイン重視の焚き火台も市販され始めている。

 キャンプではとにかくやることが多い。テントの設営、寝床の準備、火起こし、料理、片付けなど、慣れるまでは作業に追われて慌ただしくなってしまう。あれもこれもと欲張らず、 「今日は料理に凝る」、「今日は焚き火を楽しんで、食事はコンビニ弁当で済ます」など目的を明確にすれば、自由な時間が増えてくる。

 数多の焚き火台から、理想の1台を見つけ出すのは苦労するだろうが、このようにキャンプの目的を明確にできれば、選ぶべき焚き火台は自然と見えてくる。頻繁に買い替える道具ではないので、まずはタフで壊れにくいことも重視して、あなたに合った相棒を探し出してほしい。