「焦げは最高の調味料である」
私はこのフレーズをキャンプ料理で失敗したときの言い訳にしている。何度、この決め台詞を使ってきたかは数知れず。これまで犠牲にした食材は数えきれないし、いまだにほどよい焼き加減を見極めるのには苦労する。人より炎に慣れ親しでいる私でさえ、同じ過ちをおかしてしまうのだから、きっと皆さんも苦戦していることだろう。
キャンプ料理で重要なのは、炭と薪の違いを知ること。これを頭に入れておけば、食材を上手く焼けるようになる。はずである。
■炎で焼いてしまうと「焼けてる風」になる
火を起こして、すぐ焼きたくなるのがソーセージだ。だが、一番、失敗するのもソーセージである。表面だけが焦げ、中は冷たく、「全然、焼けてないじゃん」ってことが多い。
この失敗のからくりは「炎と遠赤外線」の関係にある。じつは食材は炎だけで焼けるわけではなく、熱源から出る“遠赤外線”も食材の芯に熱を通す役割を果たしている。この遠赤外線の量が重要になってくる。
薪を燃やしている状態でも遠赤外線は放射されているが量は少なく、炎が食材の表面だけを焼いてしまい、中に熱が伝わる前に焦げてしまう。
それに比べ、木炭の遠赤外線発生量はガス火の約4倍とも言われている。そのため熾火(おきび)になった炭の遠火で焼くと、しっかりと食材の中心にまで熱が伝わり、肉などの旨味を逃がさずギュッと閉じ込めるように焼ける。また、炎で焼くよりも均一に熱を通してくれる。
ということで、調理に関して言えば、薪よりも炭がおすすめである。炎が上がっている状態の薪は直焼きには適していない。
ちなみに、炭の中でも高級な備長炭は煙が少なく、遠赤外線量が豊富で、長時間に渡って高温を保ってくれる。高級焼肉店や焼き鳥店がこぞって使っているのには、このような理由があるからだ。