「刃物」は、アウトドアに持っていきたいマストアイテムのひとつ。キャンパーの中には、折り畳み式のマルチツールナイフや、持ち手まで鋼材が入っているシースナイフを持ち歩いている方が多い。これらが1本あれば、食材をカットしたり、薪を細かくできたりとなにかと重宝する。だが、硬い広葉樹の薪を前にしてしまうと、文字通り刃が立たなくなってしまう。

そこで活躍するのが、日本古来からある「鉈」。私も各種ナイフを所持しているが、焚き火の準備をするうえでは、最終的に鉈の使い勝手が良く、刃物はこれに落ち着いてしまった。今回は鉈でできるいろいろな作業をご紹介していく。

■刃こぼれの心配がなく、バトニングができる

バトニングは基本姿勢をしっかり守ることで万が一に備える

 市販の薪は太く、コンパクトな焚き火台で燃やすためには「バトニング(薪に刃物を当て、薪や木棒で叩き、割ること)」をして、細くしなくてはならない。そのまま太い状態で燃やせないこともないが、着火するのはかなり困難だ。薪を細かくし、燃えやすくするのはスムーズな火起こしの近道である。

 折り畳み式のナイフは叩いた衝撃で壊れやすいので、バトニングには不向き。シースナイフも上手くできるようになるには、慣れが必要になってくる。その点、鉈は刃が分厚く自重があるので、目一杯の力でなくともスパッと割れる。刃先にかけてカーブしているナイフに比べて、フラットな刃の面が多いため、打ち込んでいる時にもずれづらいのだ。

慣れてしまえば、芸術的なフェザースティックができる

 手ごろなサイズの鉈は、薪割りだけでなく、ナイフのようにも使える。例えば、細くした薪でフェザースティック(刃物で毛羽立たせ、着火しやすくしたもの)を作ることも可能だ。刃はナイフほど細かい作業には向かないが、フェザースティック作りくらいなら十分対応できる。カンナのように薄く表面を削り落としていくと、クルクルとしたささくれ状が出来上がっていく。

 ちなみに鉈には片刃と両刃があり、削る作業は刃が入りやすい片刃の方がオススメ。薪割りをメインに考えるならば、真っ直ぐ割りやすい両刃が初級者にはオススメ。