焚き火人口の増加とともに、火起こしの過程自体を楽しむキャンパーが増えている。着火剤をあえて使わず、ファイヤースターター(現代版火打石)を使い、火を1から育てていくスタイルだ。これが、ちょっとした達成感があり、ついついハマってしまう。
「ファイヤースターター」なる道具は、マグネシウム棒と金属のプレートがセットになったもので、それを擦り合わせることで火の粉が飛び出すというもの。その火の粉をなにかに引火させないと焚き火は始まらない。
火の粉で火がつきやすいものを総称して「火口(ほくち)」と呼ぶ。ファイヤースターターでの着火で一番大事な、火口選びについて紹介していく。
■火口の代表格「麻紐」
麻紐は、昔から火口として使われてきた代表格。手に入りやすく、少量ずつしか使わないのでコスパが良い。
自分で簡単に作れてしまうが、アウトドアショップではほぐした状態になったものも売られている。商売のアイデアとしては素晴らしいが、私からしてみると、過保護すぎるアイテムに思えてしまう。アウトドアの醍醐味は「不自由を楽しむ」といわれるほどなので、ちょっとくらい自分で手間をかけたって良いはずだ。
そうは言いつつ、店頭で見かけると、ついつい手が伸びてしまう……。
1回に必要な長さは約10cmほど。麻紐の表面を何度もナイフで擦り、ほぐしていく。紐が長いほど燃焼時間が延びるので、自分の火起こしスキルに合わせて長さを決めると良い。
コツは力を入れすぎないこと。軽く擦った方が効率的に毛羽立ち、力任せに擦ってしまうと紐が切れ、細かくなりすぎてしまうからだ。
ナイフを固定して、紐をゆっくり引っ張るやり方もあるが、どちらが正解というものではないので、自分がやりやすいほうを選択してほしい。また、石の上でやる場合はナイフが刃こぼれしてしまうことがあるので、慎重に行うこと。
ある程度ナイフで擦ったら、さらに手で裂いてモフモフにしてやると引火しやすくなる。また、初めからナイフを使わずに手だけで裂いていき、この状態まで仕上げることもできる。ただ、火を早く点けたいはやる気持ちと地味な作業でイライラしてしまうので、刃物を使ったほうがスムーズだ。
100円ショップの麻紐より、ホームセンターで売っている麻紐のほうが、モフモフ度が上がるように感じる。