焚き火に使われる薪のベストな含水率は20%~30%。この数値内であれば、ストレスなく燃えてくれる。(前回参照)

 市販されている薪といえども、すべてがこの基準を満たしているとは限らない。また突然の雨で濡れたり、地面に直置きしてしまうとすぐに湿気ってしまう。湿気った薪をそのまま燃やすと煙が多く立ち昇り、焚き火の醍醐味のひとつである「炎の揺らぎ」を拝みづらくなってしまう。

シューシュー音の原因は水分が蒸発する音

 焚き火は見た目だけでなく、「パチパチ」と薪が爆ぜる音にも癒される。しかし、水分が多いと「シューシュー」と不快な音とともに異臭を放ち(好きな方もいるかもしれませんが…)、せっかくのリラックスタイムが台無しになってしまう。そんな異音が聞こえたら、薪が湿っている証拠だ。

 そうならないために、その場でできる応急手当があるので、着火前に実践してほしい。やるかやらないかで燃え方がガラッと変わってくる。

■太陽の力は偉大だ

雨ざらしにしていた薪。含水率が高い

 例えば、雨ざらしになって濡れた薪を燃やすのには、かなりコツがいる。

 こんな時は、太陽の力を借りると水分率の数字に劇的に変化が起こる。木本来が蓄えている水分を抜くには長い月日がかかるが、雨で表面に浸透しただけの水分は乾きが早い。

地面からの湿気があるのでシートを敷くとベター

 洗濯物と同じで、直射日光の下では良く乾く。今回はわかりやすくベタ置きしてあるが、実際はなるべく地面との接地面を少なくして、風が通りやすいように組んで置く。また、そのまま薪を乾かすよりも細く割ったり、太陽の照り返しが強いアスファルト上に置いておくとより効率的だ。

 果たして1時間、炎天下に置かれた薪は……。

見事合格点をあげられる数値になった

 92.3%あった数値が、一気に32.9%に急降下。

 以前から濡れた薪は太陽の下で乾かしていたが、具体的に数値化してみると私自身も驚きの数字が出た。ここまで乾けば、十分に燃えてくれる。日の当たり方や乾かす時間、季節によって変わるが、やはり太陽の力はすごい。

急ぐなら、細く割った方が乾きが早い
急ぐなら、面倒がらずに細く割って乾かすこと

 ちなみに同じく濡れた薪を八分割にしたものも、同じ条件で乾かしてみた。乾かし始めて1時間後の水分率は、太い薪の約半分17.9%になった。

 断面の面積が大きいと乾燥速度が上がるので、早く乾かしたいなら薪を細かくするのが一番だ。あまり細く割り過ぎると、すぐに燃え尽きてしまうので要注意。火をつけること自体が目的ならば、湿気ってくすぶるよりは断然に良い。