■安曇野のシンボル! 常念岳の「常念坊」

2024年4月10日撮影、前常念岳東面に浮かび上がる「常念坊」。早咲きの桜越しに撮影。他にも田淵行男記念館前の「エドヒガン紅枝垂れ」は満開でした

 広く、安曇野エリア一帯から見えるランドマーク的な常念岳。その前常念岳東面に“袈裟を着たお坊さんが徳利を下げているような形”で現れる雪形が、常念坊です。

2024年4月10日撮影、常念岳と「常念坊」(赤線内)。まだ蕾の桜がほとんどでした

 お花見がてら眺めるのに気に入っている場所は二つ。一つは「田淵行男記念館」で、館内にはナチュラリスト、山岳写真家である氏の作品が展示されています。山を眺めるに非常に適した場所だと思います。隣りには「名水百選 安曇野の里」もあります。もう一つは「光城山」で、登山道をゆっくりと登りながら、休憩がてらに振り返って眺めるのがおすすめ。ここは標高に応じて開花状態が違い、咲き具合のいい場所を選べるので、写真撮影にももってこいです。

■雪形と桜と思い出と

4月下旬、光城山の中腹あたりから撮影した常念岳。小さく「常念坊」も写っています

 他にも同じく常念岳の「万能鍬」や蝶ヶ岳の「蝶」など、雪形自体はまだまだ数多くあります。1月に雨が降ったり、2月には記録的な高温となった冬でしたが、3月に入ってからは降雪と冷え込んだ日が続きました。年によって雪の消え方も違いますし、花々の開花のタイミングもまた微妙に変わります。その変化を感じながら春を感じるのも乙なものです。

 実は筆者は若い頃、今回紹介した雪形のいくつかの付近を通過するような登山(登攀や滑走)をした経験があります。春、麓から桜越しの雪形を眺めていると、当時の思い出がじわじわと込み上がってきます。山は変わらずそこにありますが、気力と体力は衰えていくものですね……。

 雪形は里のいろんな場所から眺めることができますので、立ち寄った際にはお花見がてら、ぜひ探してみてください。ついでに自分だけの雪形も見つけてみてもおもしろいかもしれません。