例年より早く桜前線が北上していますね。信州・長野県の桜も今年は開花が早く、すでに満開から葉桜へと移り変わっているところが増えてきました。ちょうど見頃を迎えている桜の名所の一つが、東信地方・佐久市にある「龍岡城五稜郭」です。その名の通り、函館と同様の星形の城郭です。
取材日は満開の桜が咲き誇り、澄んだ青空とのコントラストが素晴らしく、“春爛漫”という言葉がぴったりの光景を繰り広げていました。(撮影日:2023年4月9日)
■信州の“五稜郭”は小学校!?
五稜郭と聞くと、多くの人が函館を思い浮かべると思います。実は日本にはもう一つ、長野県佐久市に「龍岡城五稜郭」という場所があります。
規模こそ小さいものの、函館の五稜郭と同じ星形稜堡(りょうほ)をもつ城郭で、1867(慶応3)年に完成した洋式城郭です。建造物の多くは取り壊されたり、移築されしまいましたが、橋や堀、土塁などからも往時を偲ぶことができます。
さらに何よりも興味深いことがあります。敷地の中に小学校があるのです。その「佐久市立田口小学校」は、貴重な文化財を身近に感じられる学び舎として多くの卒業生を送り出してきました。しかし、残念ながら昨年度をもって閉校となりました。校舎に掛かる「ありがとう」の横断幕が印象的でした。
■満開の桜! 堀が醸し出す日本の美
龍岡城五稜郭は堀に沿って桜並木が続きます。ソメイヨシノ以外にもベニヤマザクラやタカトオコヒガンザクラなども植えられており、花の色合いも変化に富んでいて複雑なハーモニーを見せてくれます。
堀が屈曲を繰り返すため、角を曲がるたびに新たな景色と出会うことができました。内側から、外側から、いろんな角度で自分だけの絶景ポイントを見つける喜びもあります。
風が吹くと花が散り始めていました。お堀に桜の花びらが浮かび、歴史を感じる橋や石垣と合わせて風情を感じさせます。これからは花筏も楽しみですね!