先日、春の大雪が降った関東地方にも、やっと春らしい暖かい日がやってくるようになりました。これまで、寒い日が続いていたため、様々な花の開花が遅れていましたが、この暖かさでそれも解消されつつあります。
早春を告げる花の一つ「ミツマタ」も、例年よりも少し遅れていましたが、見頃を迎えています。神奈川県最大級の規模を誇る群生地の様子をリポートします。
■不動尻のミツマタ群生地


大山や手頃なトレッキングコースで人気の神奈川県丹沢山地。その東側にはミツマタを楽しめる場所がいくつもあります。なかでも、不動尻のミツマタは、神奈川県最大級の規模とされる大群落を見ることができます。例年3月20日頃前後が見頃とのことです。
起点となるのは、厚木市の広沢寺温泉。そこから舗装路となっている林道を歩くこと約1時間という手軽さで黄色に染まる世界を満喫することができるのです。
■春の訪れを全身で感じながらのハイキング

出発地は無料駐車場。ここから沢沿いの道を上っていきます。しかし、坂道の勾配は緩やかなので、息を切らすことなく周囲の風景に目を配る余裕があります。
耳を澄ますと、水の音と重なりながらミソサザイの美声が響いてきました。そっと覗いてみると、沢沿いの倒木の上で、こげ茶色の小さな体に似合わない大きな声でさえずっているのが見えます。繁殖期を迎え、くちばしいっぱいに巣材となる苔を運んでいるものもいました。


さらに道を進むと、「クックックッ……」という小さな声も聞こえてきました。アズマヒキガエルの恋の歌です。早速付近を探すと、びっくり。少なくとも6匹(これ以上何匹いるのかは不明でした)のヒキガエルが、水のない陸地でくんずほぐれつの大乱闘。本来なら水がたまっている場所でのメスを巡る戦いのはずですから、いわば”場外乱闘”のような状況でした。
また、林道の脇には、赤い房のような面白い形の花が咲いていました。「これでも花?」と言いたくなるような「フサザクラ」の花です。サクラという名前はついているものの、全く別の種類です。このほかにも、ダンコウバイやヤシャブシの花など、全身で春を感じながら、軽い足取りで歩を進めていきました。