北アルプス北部の玄関口、長野県大町市の郊外の山間にある中山高原。ちょうどゴールデンウィークの頃に見頃になる、菜の花のお花見スポットだ。大型連休の後半、晴天に恵まれた行楽日和が続くなか、家族連れや犬の散歩がてらに訪れる人で賑わっていた。

 一帯は旧大町スキー場のゲレンデの一部で、なだらかな丘陵地が一面の菜の花畑となっている。入り口から奥に進んで振り返ると、黄色い花の絨毯の向こうに北アルプスの絶景が望める。早朝にはカメラを構える写真愛好家も多くいた。知る人ぞ知る、ちょっと穴場的存在なので混雑もひどくはなく、のんびりと散策を楽しむことができる。

 今年は残念ながら畑によっては花に乏しい部分もあるが、山並みは季節外れの新しい雪がうっすら積もり白く輝いていた。雪溶けの後にできる「幻の池」は大きく残っており、そばに佇む散り際の「一本桜」が水面に映り込み、幻想的な雰囲気で目を楽しませてくれている。

 敷地には鹿肉を使ったメニューが楽しめる「農園カフェ・ラビット」や藁(ストロー)で組んだ白い建物がユニークな「美麻珈琲」、明るい森の中で過ごせる「中山高原キャンプ場」がある。

 中山高原や周辺の畑は菜の花が終わると今度は蕎麦畑となって、例年8月下旬頃から白い花が風にそよぐ涼しげな高原の景色を見せてくれる。