全国で桜が満開となり、すでに葉桜となってしまった地域も多いだろう。実は信州、とくに北信と呼ばれる長野県北部では桜の見頃はこれから。春の遅い信州では、桜よりひと足早く開花するのが杏(あんず)の花だ。

 千曲市の森地区や倉科地区は、別名「あんずの里」と呼ばれるくらい一面にあんず畑が広がっている。開花状況は僅かにつぼみを残しつつの満開状態で、まさに見頃! 地元の方も「今が一番きれい」と言っていた(4月9日)。

■杏(あんず)の花って見たことある?

一見すると梅にも見えるが、これが「杏(あんず)」の花だ

 果実としてよく名前を聞くあんずは、英語ではアプリコット! 英語名の方がお菓子に入っていたりして馴染みがあるかもしれない。では、花を見たことはあるだろうか?

 実は、あんずを始め桜や梅、桃などは全てバラ科。当然花は似ているので見分けるのが少々難しい。あんずの花は桜とは異なり、梅のように木の枝に直接咲く。密集して咲くので木の枝が見えないくらい。桃のように大きな花ではなく、小ぶりなのも特徴だ。

 ちなみに森地区のあんずは背の低い木が農産物としての栽培用で、背の高い木が在来種だそう。農家の高齢化が年々進み、収穫の際に高いハシゴに乗ることなく実を採れるようにと低いそうだ。

■日本一! あんずの里

「窪山展望公園」から見下ろす「森」地区の景色

 この一帯のあんず生産の歴史は古く、江戸時代から続いているという。生産量は長野県が全国シェア第一位で、県内の生産量の中でも千曲市が一番多いことから「日本一のあんずの里」と呼ばれてる。

 現在「あんずまつり」も開催中だ〔 2022年3月26日(土) 〜 4月10日(日) 〕。軽トラの荷台を利用した即席出店(キッチンカーや普通の屋台も)で、「あんずジャム」や「ドライあんず」などもお土産に購入することができる。

まさに農家直産! 軽トラの荷台を使った出店も

※ 「あんずまつり」は初夏の収穫時期にも開催予定。