暑い日が続くようになると、春のような花の開花ラッシュが一段落してきます。しかし、この時期、ハスが見頃を迎えます。首都圏でもハスの名所がいくつかありますが、その中の一つ、埼玉県行田(ぎょうだ)市の「古代蓮の里」を訪れてみました。ここには、なんと12万株ものハスが咲き乱れ、毎年多くの観光客の目を楽しませています。

■太古の眠りから目覚めた古代蓮

公園内には、池がたくさんあり、多くのハスで覆われています。どこを歩いても美しいハスに出会えますよ

 古代蓮の発見は約50年ほど前にさかのぼります。行田市が公共施設を作ろうと掘削工事を始めたところ、水たまりができ、地中深くに埋まっていたハスの種から芽が出て花を咲かせたそうです。調べたところ、その種は、1400~3000年前のものだったそうです。まさに太古の眠りから目覚めたハス。この古代蓮は、原始的なハスであることもわかり、「行田蓮」と呼ばれ、市の天然記念物になっています。

古代蓮の里 https://www.ikiiki-zaidan.or.jp/kodaihasu/index.html

■旬は早朝! ハスの花

ハスは早朝に開花します。早起きして出かけてみましょう

 古代蓮の里では、ハスの開花時期のみ午前5時から午後2時までは、駐車料金が必要となります。そのため、私は午前5時前に現地に到着しましたが、その時間では少し早すぎたのか、多くのハスがまだ半開きの状態でした。しかし、午前6時を過ぎると、次々と花が開き、美しい姿を見せてくれました。花の旬は午前中。お昼前頃にはまた閉じてしまいます。(取材日は7月8日)

 ちなみに、ハスの花が開く時に、「ポンと音がする」という話をよく聞きますが、科学的には確認されていないとのこと。花が開く時に、花びらがカサッという音を立てることがあるようですが、その音のことを言っているのでしょうか。ぜひ、皆さん自身の耳で確かめてみてください。

ハスの香りに誘われ、ミツバチが集まってきました

 花が開き出すと、柔らかいハスの香りが漂い始めました。すると、すかさずミツバチが集まってきました。そして、まだ開ききっていないハスの花の奥に潜り込んでいきます。主にハスの花粉を目的としているようで、どのミツバチも後脚に大きな花粉団子をつけていました。

まるで高級なお菓子のような花の中心部。オレンジ色のポツポツが雌しべで、周囲にある糸状のものが雄しべです

 ハスは開花してから4日間花を咲かせます。中心部の花托(かたく)が緑色を帯びているのは3日目くらいのものでしょうか。ハスの花を見ながら、開花から何日目なのかを推測するのも楽しいものです。