■全身を使うこと、とくに「ヒザで割る」意識がポイント
薪割りには、「危ない」とか「怖い」イメージがつきまとっているようだ。しかし、正しい姿勢と薪の状態をしっかり見極めれば、子どもや女性でも楽しめる。全身を使わないと上手に割れないので、自然と良い全身運動になる。
効果のほどは、映画『ロッキー』や漫画『はじめの一歩』」にアナログなトレーニング方法として取り上げられているほど。いまさらロッキーのような体を手に入れたいとは思わないが、斧を振り上げることで普段使わない広背筋や肩甲骨周りが適度にほぐれ、肩こりを解消してくれるのはありがたい。
かくいう私も、初めのころは腕の力だけで闇雲に割っていたため、すぐに疲れてしまっていた。しかし、割り続けるうちに力が入らなくなることが幸いし、自然と全身を効率的に使えるようになり、膝の使い方がポイントであることがわかった。
バスケットのシュートのフォームに例えてみよう。どんなに腕の力があっても手投げだと飛んでいかないのと同じ。膝を曲げ、手足の関節を伝っていくように力を伝えないと、ボールはリングには届かない。斧も同じで、上手に刃に力を伝えないと薪はビクともしない。こればかりは頭でわかっていても、練習あるのみ。繰り返し、身体で覚えるしかない。
焚き火道具として誰もが斧を持つべきかと問われれば、正直不要な方が大半だろう。しかし、焚き火の原点でもある薪割りを経験することで、木を知り、昔の人の苦労を知ることができるのは間違いない。機会があれば、ぜひ斧を使った薪割りを体験してみていただきたい。