濡れていても皮を削れば、中身は乾いている

 ナイフより大雑把に削れる鉈の特徴が生きる作業といえば、落ちている濡れた枝の表面を削ること。

「もっと燃やしたいけど、薪を買い足すほどじゃない」と断念したことがあるキャンパーもいるはず。そんなときは、周りを見渡してみよう。焚きつけに使える乾いた枝は拾われやすいが、濡れている枝は燃えないと決めつけられて残っていることが多い。そんな枝は表面だけが湿っていることが多いので、剥いてみるといい。乾いている部分だけにすれば、薪と遜色なく燃えてくれる。焚き火台の上で作業すれば、削り落ちた樹皮はそのまま燃えてくれるので、サイトを汚さずに済む。

■ビジュアルより機能性で選ぶ刃物

タフで壊れにくく、一生モノのギアになる

 お洒落なモデルが揃う手斧に比べると、無骨な印象の鉈はビジュアル面ではやや見劣りする。しかし実際に使ってみると、刃渡りが長いので手斧よりも作業が安定して、とても使いやすい道具であることがよくわかる。昔から林業や狩猟で使われてきた理由も納得な、使い勝手の良い理に叶ったギアなのだ。海外では、この形状の刃物は少ないらしい。定かではないが、日本人の筋力や動作に合わせ、独自に進化した刃物なのかもしれない。

  せっかく持つなら刃物ならなんでも良いのではなく、アウトドアでの用途に適したものの方がいい。キャンプであれば、私は小さなナイフや洒落た手斧などは持たず、手ごろなサイズの鉈1本で済ませている。

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