■表面が焦げた=薪が燃えているわけではない
続いては、実際に着火して燃やし比べてみよう。前出の乾いた薪、湿った薪をそれぞれ燃えやすくするために細かく割り、同じ組み方にしてみた。着火剤はジェルタイプのものを使用し、いよいよ実験スタート!
「乾いている薪」は順調に燃え始め、炎が次々と薪に燃え移っていく。燃えやすい理由として細く割るすることは、焚き付け作りの基本である。ここに、さらに太い薪を足していけば、難なく焚き火の火起こしは完了。といった具合に見える。
一方、湿っている薪の方はどうだろう。一見、燃えているように見えるが、実は隙間から見える炎は着火剤が燃えているだけであって、なかなか薪には燃え移らないようだ。ジェルタイプの着火剤は固形タイプより火力が強めなのにもかかわらず、燃え移らない。煙が出始めているので、着火剤の火力で薪は徐々に乾き始めているようだが、薪が乾いて燃え始める前に着火剤が燃え尽きてしまいそうだ。
火をつけ始めてから5分後。「乾いた薪」は着火剤のアシストがなくとも完全に燃え始めたが、「湿った薪」は薪の表面が黒く焦げただけで、着火剤が燃え尽きてしまった。
ご覧のように、薪の状態を把握せず、流行る気持ちだけで燃やし初めてしまうと、ちゃんと着火することができない。何度も着火剤や焚き付けを追加していれば、そのうちいつかは薪が乾いて燃えるに違いないが、着火剤と時間の無駄使いになってしまう。
ちなみに、例え乾いていても初めから太い薪を燃やしてしまうと、この結果と同様、薪の表面が焦げるだけで終わってしまう。BBQに使う炭にも同じことがいえる。乾いた薪を選び、初めは着火しやすいように細かく割る(もしくは細い薪を選び)、ことで、スムーズに燃焼させることができる。
これからの焚き火シーズンに向け、しっかりと薪の濡れ具合を見極めていただきたい。