北海道最高峰である大雪山の「旭岳(2,231m)」から「トムラウシ山(2,141m)」への縦走は、北海道において鉄板ルートとも言える人気のメジャールート。過去にはトムラウシ山にて大量遭難の悲劇もあったルートだが、その魅力は今も変わらない。大雪山の核心部を堪能するこのルートを紹介する。

■大雪山旭岳~トムラウシ山縦走のルート

旭岳の山頂部は植生が乏しい火山帯

 旭岳~トムラウシ山の縦走はどちらからスタートしてもよいのだが、圧倒的に多いのは旭岳からスタートしてトムラウシ山に向う、南に進むルートだ。大きな理由はスタート地点とゴールの標高の違いだろう。ロープウェイを使えば、旭岳のスタート地点の標高は1,600m。

 一方、トムラウシ山への短縮登山口の標高は950mだ。高いところから低いところへ、登りを少なくと考える登山者が多いのはもっともだ。大雪山系は国立公園なので宿泊地が限定される。営業小屋はないが、避難小屋や野営指定地をつないで行くことになる。

 一般的な日程は2泊3日だが、もう少し刻んで3泊4日で歩く人も多い。なにせ全長40kmを超える長い行程だ、無理は禁物である。

■基本的に緩やかな高原散歩、初日は白雲避難小屋まで

白雲岳避難小屋と野営指定地に向かって下る

 今回は旭岳からスタートする2泊3日の縦走を基本に紹介していく。旭岳ロープウェイを使ってまずは旭岳山頂へ登る。お鉢平、北海岳を経由して、白雲避難小屋を目指すのが初日の定番だ。

 2泊でも3泊でも、初日の行程は変わらない。余裕を持って進むためには、なるべくロープウエイ始発か早い時間の出発が望ましいだろう。白雲避難小屋は夏期間管理人が常駐し、利用料を支払うが食事などの提供はない。

 トムラウシ山への縦走以外にも利用する人が多い場所なので、常時混み合っている。小屋の直ぐ近くに水場があり、通常涸れることはないが、雪が少ない年や秋などは涸れることもあるので、水場情報を確認しておいた方がよいだろう。