■パックラフトのメリットとデメリット

 当たり前だが「川を快適に下る」という一面だけピックアップすれば、はっきり言ってカヌーやカヤックの方が優れている。通常の川下りとは元々の目的が違うので、メリットデメリットの両面からしっかりと特徴を把握しておこう。

<メリット>
・軽量コンパクトで収納場所困らず、背負って移動ができる。
・軽くて底面もフラットなため、浅い川でも行くことができる。
・水に沈んでいる部分が少なく、底面がフラットなため回転性が高い。
・空気体積が大きく安定感が抜群なため、ひっくり返りにくい。
・川原泊するとき、そのまま就寝用のマットとしても使える。

<デメリット>
・軽いので風の影響を受けやすく、強風時の広い湖や海では非常に危険。
・直進性が乏しいので、流れのない川では漕いでもあまり進まない。
・生地に強度はあるが、それでもやはり穴が空くことはある。

 個人的には、一度通常のカヌーやカヤックで知識や経験を得て(買わなくても体験やスクールとかいっぱいある)、そのうえでパックラフトが自分の目指すスタイルに合っているなら導入する、っていう流れが一番理想だと思っている。

 僕も自分の川旅スタイルにパックラフトが最適だと思っているので採用している。もちろん最初からパックラフトで川下りを始めてもいいが、やはりスクールやツアーで一度は体験した方がいい。

僕もプライベートツアーの依頼を受けている

 パックラフトは気軽に始めやすい分、近年非常に事故も増えてきている。流行っているからといって安易に手は出さず、十分な知識と経験を積んでからトライしてみてほしい。川は雪山登山に匹敵するくらいの危険に満ちている一方で、雪山登山に匹敵するほどの魅力も秘めている。だからこれほど多くの人が魅了されているのだ。

 かつて1社でのみ作られていたパックラフトも、現在では多くのメーカーが台頭してきてしのぎを削っている。日本発のブランドも誕生したりして、機能も多様なニーズに応えるものも増えてきた。そのあたりは、いずれまたご紹介していきたいと思う。