<前編をおさらいする>

 コロナ禍による移動制限がかかっていない久しぶりの夏。川遊びに出かける人も増えているなか、連日のように川での水難事故が報道されている。

 水難事故の多くは、知識と経験、そして安全管理不足からくるもの。裏を返せば、それをしっかり理解していれば多くの事故は防げるはずだ。そこで川の水流の怖さについて解説した<前編>に続き、川遊びに関する基本的な注意ポイントをおさらいしたい。

■人工物には、決して近づかないこと!

 川にある危険は、自然のものだけではない。たとえばコンクリート製の消波ブロック 。これは水流を受け止めて、河川の氾濫や崖崩れを防ぐために設置されたものだ。ブロックの中は魚の住処にもなりやすく、小さな堰堤下に設置されていることも多いことから、近くで親子が遊んでいる姿をよく目にすることがある。

 でもよく考えて欲しい。そもそも水流を受けて落ち着かせるために設置されているものなのだから、そこには当然危険な流れがあるはず。そして、流れがブロックの中へと吸い込まれているということは、人も吸い込まれてしまうということ。一度吸い込まれて引っかかってしまったら、もう自力で脱出することは不可能となる。特に体が小さくて力の弱い子どもは、足を滑らせるとあっという間にテトラポットの隙間に入り込み、大惨事へと繋がってしまう。

 経験の浅い大人目線での「ここは穏やかで大丈夫だろう」は、なんの当てにもならない。人は水深30cmあれば、簡単に死ねる生き物だ。しかも、子どもは驚くほど「静かに」溺れるもの。何かあったら助ければいい、という考えは通用せず、気づいた時には取り返しがつかないことになっている。大切な命を守るため、消波ブロックのような人工物には決して近づかないようにしていただきたい。

ブロックに張り付いてしまったカヤック。これがもしも人だったら…