川下りをしたことがない人から、必ずといっていいほど聞かれる質問がある。それは「川を下ったあと、どうやって元の場所に戻るの?」というもの。最近ではキャンプ場をベースにして川下りをしたいという人も増えており、そのような質問も多くなった。
回送の方法は、大きく分けて3つ。旅のスタイルや人数、その川周辺の交通状況によって様々な方法があるが、公共交通機関・自家用車・人力の3パターンが存在する。今回はそれぞれのパターンをここに書いておくから、もう川下りの人に同じ質問しないようにね(笑)。
■公共交通機関を使った回送方法
担いで移動できるパックラフト(空気注入式ボート・重量約3kg)の登場により、日本でもっともメジャーな回送方法として活用されているのが、電車・バス・タクシーなどの公共交通機関だ。パックラフトが関東エリアの人を中心に盛り上がっているのは、豊富な公共交通機関との相性の良さがあげられる(狭いマンションでも保管場所に困らないということもある)。電車で長瀞や御岳エリアのスタート地点まで移動し、ゴールしたらそのまま電車に乗って帰ってくるといった気軽さが人気の要因だ。
日本全国の川でも、メジャーな川沿いには大体電車が走っている。僕個人としては、北海道の釧路川、長野の千曲川、静岡の大井川、京都の保津川、山口の錦川などは電車回送で利用したことがある。
まずは計画段階で、スタートとゴール地点にもっとも近い場所にある駅を探してみよう。駅がある場所には、近くに橋がかかっていることが多い。橋があるところには川にアクセスできる道がついていることも多く、発着点としても優れている場合が多い。道がついているかどうかの確認は、事前にGoogleマップの衛生写真で確認しておくか、現地のカヌーショップやアウトフィッターなどに問い合わせてみるといいだろう。
注意したいのは、田舎だと電車の本数が少ないということ。1日に3便しかないパターンもあったりするので、事前に時刻表をチェックして旅の計画を立てよう。僕の場合は川下り中に時間を意識して焦りたくないので、最初にゴールに車を停め、始発の電車に乗ってスタート付近の駅に移動して、あとはのんびりと下るパターンが多い。
電車が並走していない川だと、バスの存在がありがたい。結構な山奥であっても、人の生活がある限りバスは走っている。バスは電車よりも区間が短いので、川旅を途中で切り上げるときにも便利だ。大きめのキャンプ場ならバス停があったりするので、キャンプ場を発着点にして計画を立ててもいいだろう。
あとはもう、大人の力(お金!)をフル活用して、タクシーを呼んでしまうのが一番手っ取り早い。どこを発着点にしようが来てくれるので超便利。その代わり、山奥の方だと街から来てくれることになるので、事前に予約はしておいた方が待ち時間は少なくて済むだろう。
余談だが、和歌山の古座川には“カヌータクシー”なるものがある。これはタクシーの上にカヌーを載せて移動してくれるので、パックラフトじゃないカヌーやカヤックでも回送が一発で済む非常にありがたいサービスだ。運転手さんから地元のいろんな情報が聞けるのもグッドである。
どの公共交通機関を使うにしても、濡れたまま乗るのは控えよう。着替えてから移動するか、そのままの場合は電車なら立って、他はシートに何か敷物をして濡らさないようにしよう。