川を旅するための道具として、軽量・コンパクトなパックラフトには多くのメリットがある。その一方で、その手軽さゆえに、最近川下りの事故が増えてきた背景は前回述べた。参考として、僕の経験と事例をもとに“リスクと段階”の話をしたが、今回は自分のスタイルで安全な川下りを楽しむために大切な“マイルールの徹底”のお話をしたいと思う。
■まずは川を好きになること
僕は今まで「技術的なことで頭でっかちになるより、まずは川の楽しさを知ってほしい!」と発信し続けてきた。川旅の本場・ユーコン川を目指す人にも、「若く未熟で単独行なほどいい。失敗したり辛い思いをしても、そこから得られるものはとてつもなく大きい」とも言ってきた。
それは、まずは川に触れ、大好きになることが先頭にないと、技術や知識を得るための必然性が薄れてしまうという思いからだ。
ただ一方で、それらの発信が、人によっては誤解を生んでしまった可能性もあると反省している。これらはあくまでも、徐々に経験を積んでいく“段階”ありきでの話だったのだが、その段階をすっ飛ばして無謀な川下りに挑む人が少なからずいたかもしれない。
なので、ここで改めて僕の思いをもう少し具体的に書いておく。順序立ててまとめていくと以下の感じになる。
1:安全な状況下でまずは川の楽しさを知る
2:その場でちゃんと失敗する(川の危険を体で感じる)
3:そこで生まれた必然性を持って川の知識・技術向上に向き合う
4:経験を積み、課題を解決して自信をつける
5:マイルールを設定し、自分のスタイルを確立させる
6:ようこそ、素晴らしき川旅の世界へ!
前回は、僕の経験上での“段階”の話をしたが、ここからは、僕が自分のスタイルに応じてどのような“マイルール”で川旅をしてきたかを説明していく。