■足もすくむ槍ヶ岳山頂の高度感!

肩から山頂を目指します
なんとか山頂にたどり着きました。眺めは最高! でも、あまりの高度感に足がガクガク

 3,000m級の槍ヶ岳なので空気も薄く、何度も足を止めて深く息を吸い込みながらなんとか槍ヶ岳山荘に到着。

 そこからは、荷物を置いて、穂先を目指します。一歩一歩岩を慎重に登り、ついに憧れの山に登頂しました! 実は、高度恐怖症気味な私。360度を見渡せる素晴らしい展望に感嘆の声を上げながらも、実は「もう早く下りたい」と心の中でつぶやいていたのはナイショです。

■槍沢の広大なスロープを自由自在に滑走!

槍ヶ岳山荘のテント場横から慎重に滑走開始(撮影:Ryu)

 穂先から無事戻ってきたら、いよいよメインイベントの滑走です。槍ヶ岳山荘のテント脇からドロップです。周りにスキーヤーやスノーボーダーの姿はありません。GWと言ったら混雑しているのが当たり前ですが、こんな最高の場所からスロープを独占できることへの高揚感といったらありません。

 「最初はちょっと急だから慎重に滑ってね」とのRyuさんのアドバイスを聞いてゆっくりスタート。しかし、いつもワンターン目が課題の私は、案の定転倒してしまいます。それでも、雪は緩んでいて滑落するようなことはありません。気持ちを切り替え再スタート。雪はザラメで、とても滑りやすい雪質。テレマークスキーを気持ちよく落としていきました。

スキーヤーが少ない斜面を独占(撮影:Ryu)
どこを滑っても槍がバックになる絶好のロケーション(撮影:Ryu)

 誰も滑っていない槍沢の広い斜面を、自由に滑走できるのは、ここならでは。そして、穂先を見ながら登ってきた時間が長かった分、滑りも長い距離を楽しめます。しかも、ずっと背中に穂先を背負いながらです。

 技術的にも体力的にもイマイチの私は、ビッグマウンテンのスロープの広大さに圧倒されつつ、シーズンラストの滑走を大いに楽しみました。山頂ではメンタル的に震えた足が、滑りでは筋力がもたずにプルプルしていましたけれども。

谷に吸い込まれるようにロングランを楽しみました(撮影:Ryu)

 遠くに見える山々を眺めながら、どこまでも続くスロープを滑り下りられるのは至福のひと時。頑張って登ったご褒美です。

 どこでも多くの人出で混雑するGWですが、ここ槍ヶ岳は、長いアプローチのため、スキーヤーや登山者が少なく、ゆったりした空気を味わうことができます。斜面が広く斜度も適度なため、気持ちよく安全な滑走も楽しめる場所であることもわかりました。

 まだ、GWの行き先を迷っているスキーヤーの皆さん、槍ヶ岳をその候補の一つに挙げてはいかがでしょうか。きっと満足のいく滑り納めができることでしょう。

 

※槍ヶ岳は、3,000m級の高山であり、天候が荒れると危険なエリアとなります。現地を熟知した経験者やガイドとともに訪れることをお勧めします。

【取材協力】SKIER‘S PLACE(スキーヤーズプレイス)http://skiersplace.jp/