雪の多い北海道。残雪を求める春のBC(バックカントリー)ツーリングスキーもそろそろ終了となる。しかし、実はこの時期からスキーシーズンが始まるBCエリアがある。それは北海道の大雪山エリア。広大な山系ゆえに、積雪は豊富だがその雪までたどり着くアプローチは遠い。そのような場所にアプローチできる林道ゲートが解放されると、現実的にアプローチが可能となるのだ。
■林道オープンと共に始まる「平ヶ岳」シーズン
北海道には初夏の滑走に適したエリアはいくつかあるが、スキーに適した大斜面が広がる大雪高原温泉からアプローチする平ヶ岳(1,752m)は知る人ぞ知る絶好のサマースキーエリア。今回は林道解放に合わせて平ヶ岳を滑ってきた。
今年度、高原温泉へ至る林道のゲートが解放されたのは6月10日。砂利道の林道を10kmほど車で走ると、山に囲まれた秘湯、大雪高原温泉へたどり着く。ここから大雪山系の山へ入っていく登山道があるので、雪のある上部までのアプローチが可能となる。
■すべてを背負ってアプローチ
雪の残り具合は年によって変わるため、どこから雪の上に立てるかは行ってみなければ分からない。スキー、ブーツ、BC装備などすべてを背負っての登山から始まるのがこの時期のBCスキーだ。
周りの雪がすべて溶けている登山道は大きな問題はない。しかし、あたりに残雪がちらほらと見えてくると、道は次第に不明瞭になる。道を探し、ときには道よりも残った雪をいかにうまくつないで行くかがルートファインディングの要となる。急激に融雪が進むこの時期は小さな川も水量が多くなる。徒渉で川を渡る必要も出てくるので、その準備も必要だ。
■雪の大斜面を求めて!
目的の大斜面まで約2時間。今年も豊富な積雪量で6月とは思えない大斜面へたどり着く。この時期しか滑れない、この斜面を求めてコアなBCスキーヤーが無数のシュプールを刻む。この時期のBCスキーは決して楽ではない。しかし、それ故に雪上を滑るスキーの楽しみは大きい。ただ滑れるから楽しいわけではない。雪に至るまでの困難な行程すべてが、ひとつひとつのターンの為にあり、意味深い物となることが楽しいのだ。