信州、長野県北部にも遅い春が訪れたかと思えば、あっという間に緑が濃くなってきています。北アルプスや妙高山などの標高の高い山並みは残雪に輝いていますが、その他多くの山の雪はほとんど見当たらないようになってしまいました。

 そんななか訪れたのは、長野、新潟の県境となる関田山脈の中心的な存在である鍋倉山です。ロングトレイルとして名を馳せる「信越トレイル」の一部でもあり、冬はブナの森を登って滑るバックカントリースキー(山スキー)を楽しめるため、人気を集めている山です。標高は1,288.8mとそれほど高くないですが、積雪量が多いために初夏になってもスキーやスノーボードでの滑走を楽しむことができます。

■豊富な残雪! 賑わう新緑の鍋倉山麓

飯山市、国道沿いに咲く菜の花越しの関田山脈の眺め

 4月末、筆者の住む長野県北部の里山ではすっかり雪が消えています。鍋倉山へ向かう道すがら、雪が残っているのか不安になっていましたが、飯山市に入り千曲川沿いに咲く菜の花の向こうに連なる山並みに、しっかりと残雪を確認できホッとしました。

桜と新緑と残雪のコラボレーションが見事でした

 冬季は温井(ぬくい)集落の端までで除雪が終わっていましたが、春の訪れとともに関田峠へ向けて着々と除雪作業が進んでいきます。車道を上っていくと新緑と残雪のコントラストが美しく、ところどころに桜のピンクが差し色も入って見事な眺めが迎えてくれました。車中から眺める「田茂木池」も水面を輝かせています。

「巨木の谷」駐車場。ここから歩き出しました

 標高880mの「巨木の谷」駐車場で通行止めとなっていました(4月30日現在)。おりしもGW中ということもあって、駐車しているうちの半分ほどが他県ナンバーの車でした。付近の雪の壁は高く背丈の倍くらいあり、この冬の積雪の多さをうかがわせます。

雪の壁の高いところはまだこんな高さでした

■春になり、近づいた山頂へ

枝のシルエットが雪面に浮かび上がる森。のんびりとスノーハイクを楽しめます

 雪の壁は夏の登山道入り口が低くなっているので、そこから雪上へ。ここから歩き出すと山頂までの標高差は400mほどです。ルートやペースにもよりますが、登りは2時間あれば十分でしょう。山スキールートとしてはずいぶんと近いのではないでしょうか。

 ブナの森はまだ芽吹く前。根本周辺は雪解けが早いために幹を中心に穴が開いています。枝にはヤドリギが目立ち、小鳥たちの囀りに混ざってアカゲラ(キツツキ)がドラミングする耳障りのいい音が響いています。森の空気をめいいっぱい吸い込みながら、ゆっくりと山頂へと向かいました。

※春になるとほとんどの人は通過しないようになりますが、田茂木池の西側には私有地である「鍋倉小屋」があり、その付近は畑となっていますので立ち入らないように配慮が必要です。詳しくは、「鍋倉山周辺のスノーフィールドが永続的に楽しめるように」という理念のもと地元有志たちによって立ち上げられた、“BC鍋倉フィールド(https://bcnf.jp)”に記載されています。