今冬は12月から大雪が降り、かつてないほどのたっぷりなパウダーが山々に積もっています。“粉雪中毒者”にとって、今冬は十年に一度あるかないかの大チャンス。週末にはどこの山に行こうかと頭を悩ませている人も少なくないのではないでしょうか。

 パウダーフリークたちの悩みは、自分の滑走する姿をきちんと写真に残す機会がほとんどないこと。友人たちと一緒に出掛けても、みな楽しく滑ることに夢中で、互いの滑走シーンを美しい写真として残すことは難しいことです。

 しかし、そんな悩みを解決してくれる“夢のバックカントリーツアー”があると知り、さっそく参加してきました。

■有名プロカメラマンが同行するフォトツアー

案内をしていただいた「マモさん」。白馬の山を知り尽くした経験豊かなバックカントリーガイドです
「BRAVO MOUNTAIN」でもお馴染みの山岳プロカメラマン杉村航さん。近年はフィッシングインストラクターとしてもご活躍です(撮影:@38rockbook)

 今回案内していただいたのは、テレマークスキーでガイドをしているマモさんと、プロカメラマンの杉村航さんのお二人。様々な書籍でお名前と写真を見ることも多いゴールデンコンビによるバックカントリーでのフォトツアー。雪山に入り込み、大自然の中でゲストの滑走シーンを撮影してくれるというのです。なかなかないチャンスに巡り合え、出発前からワクワク感が半端ありません。

■誰も来ない静かな山がフォトスタジオ

ゲストのギアはスキー・テレマーク・スノーボードと様々
枯れた葉も、粉砂糖をかけられたかのような自然の芸術品に変身します

 今回のゲストは5人。スキー・テレマーク・スノーボードと、ギアは様々ですが、皆さんパウダー好きという点では同じです。

 前日までの吹雪も収まり、山には軽いパウダーがたっぷり積もっています。しかし、こういう時は、誰もが目がギラギラして朝イチの争奪戦になりがちです。そこで、多少ハイクは長くなるものの、人があまり入らない白馬の静かなエリアに向かうこととしました。

 最初はフラットな針葉樹林に囲まれた林道沿いを歩きますが、途中から斜面にジグを切りながらゆったりと高度を上げていきます。時折、急斜面を見上げながら「あのマッシュ(キノコ状に積もった雪の塊)を跳んだところを撮りましょうか」などと、半分冗談を交わしながらのツアーです。

標高を上げるにつれ、美しいブナの樹林帯が現れてきました

 いつのまにか周囲は幻想的な霧氷の世界。「森のダム」と呼ばれるブナの木も多くなり、私たちを優しく包んでくれます。

 ガイドのマモさんは、「俺についてこい!」と言わんばかりに、先頭でラッセル。その背中を見ながらゲストも力強く歩を進めていきました。