岐阜県と長野県の県境に位置する乗鞍岳。その玄関口となる「畳平バスターミナル」への岐阜県側からのルートである「乗鞍スカイライン」が5月15日に開通しました。

 当日は雲も多かったですが、全般的に穏やかに晴れ、登山や山スキースノーボード)、周辺散策の観光客など多くの人たちが訪れていました。路面崩落から仮復旧し、3年ぶりの5月開通となりました。

■乗鞍岳と乗鞍スカイライン

2025年5月15日の乗鞍岳。「富士見岳」東面から望む「剣ヶ峰」方面

 乗鞍岳は岐阜県と長野県の県境、飛騨山脈の南端に位置する標高3,026mの山。最高峰の「剣ヶ峰」を筆頭に23の峰と7つの湖、8つの平原から成っており、日本百名山にも選定されています。

 一帯は「中部山岳国立公園」となっています。マイカー規制が実施されており、一般車両は通行できません。バスやタクシーを利用することで、日本一高い標高2,702mの「畳平バスターミナル」まで手軽に上がれることもあり、登山者だけでなく多くの観光客も訪れる場所です。自転車の通行も可能で、ロードバイクなどでヒルクライムを楽しむ人にも人気です。

開通初日、始発便の「ほうのき平バスターミナル」の様子

 「ほうのき平バスターミナル」から新緑のなかを抜けるように標高を上げていくと、やがて森のなかの残雪が目立つように。高度感ある急斜面に刻まれた道からは北アルプスや白山の山並みの絶景を車窓から楽しむことができます。雪の壁の間を抜けると畳平へ到着です。

絶景広がる「畳平」は、日本一高い標高2,702mのバスターミナルです

■残雪きらめく剣ヶ峰山頂へ

畳平から「鶴ヶ池」のほとりを登っていきます。半分くらいは雪に覆われていましたが、環境保全のためにも登山道を外れないように

 畳平から最高峰の剣ヶ峰を目指して歩き出します。「富士見岳」と「摩利支天岳」のコルまでは半分くらいが雪に覆われていました。その先は急な斜面も含む雪上歩行となります。装備も含めて雪上歩行技術、アイゼンワークなどが必要なエリアとなるため、この時期は雪山登山として臨みましょう。

朝日岳の東斜面。取材日はだいぶ緩んでいましたが、急な斜面の登高に緊張します

 長野県側の乗鞍高原からは、ひと足早く「位ヶ原山荘」まで開通している「乗鞍エコーライン」からの入山者も見受けられました。

無事に剣ヶ峰登頂! ときおり冷たい西風が強まって肌寒かったです

 「肩ノ小屋」を経由して(畳平から)1時間40分ほどで剣ヶ峰山頂へ到着しました。乗鞍岳にしては穏やかな気候でしたが、ときおり風が強まったりガスが巻いてきたりと高山ならではの天候の不安定さも感じさせられました。