あわただしい新年度スタートも一段落してきました。4月も後半になると、気になるのはGW。今年は、昨年よりもたっぷりの積雪があり、気持ちの良い残雪滑走が期待できる予感。スキーヤーなら、長期の休みを生かして、どこで滑り納めをしようか迷うところです。
そこでおススメなのが、北アルプス「槍ヶ岳」。鋭く聳える山頂部は、どこから見ても目立ち、誰しもいつかは登ってみたいと思う名峰です。長いアプローチも、時間にゆとりのあるGWなら焦らず楽しめます。
ガイドとともに2泊3日で初の槍ヶ岳登山&滑走を楽しんできた様子をレポートします(取材日は2024年GW)。
■誰でも一度は登ってみたい憧れの槍ヶ岳

北アルプスの名峰である槍ヶ岳。標高3,180mのこの山は、日本で5番目に高く、百名山の一つにもなっています。特徴的な鋭い穂先を遠くから眺めていると、とてもそんな場所を滑れるなんて最初は考えもしませんでした。でも、ガイドのRyuさんの「思ったほど急じゃないんだよ。大丈夫ですよ」という励ましで、今回のツアーへの参加を決めました。

スタートは上高地バスターミナル。人気の河童橋を通り、最初は平坦な道を歩きます。雪が全くない道が長く続くため、トレッキングシューズを履き、スキーブーツとスキーは担ぐことになります。そのため、普段よりもかなりの重量となるので、肩パッドを増やして付けましたが、それでも肩にベルトが食い込んできます。それを癒してくれるのは、道の両側を彩る春の野草と、高らかなさえずりを響かせる野鳥たち。特にコマドリの美声は、私を強く励ましてくれました。


また、約1時間ごとに、明神・徳沢・横尾があるので、適度に休憩を取れるのがうれしいところです。横尾を過ぎてしばらくすると、槍見河原です。ここで、初めて槍ヶ岳の姿を拝むことができます。しかし、それは、とても遠いところに聳えていて、本当に自分であんなところまでたどり着けるのか自信が持てないほどでした。
肩パッドを増やしたもののやはり途中で肩が痛くなり、何度かザックを下ろしましたが、なんとか半日かけてベースとなる槍沢ロッジに到着。生ビールで乾杯し、明日の健闘を誓い合ったのでした。
■長いアプローチの先に見えた槍の穂先


明朝、夜明け前の山小屋を出発します。空には無数の星が輝いていて、快晴を約束してくれています。ヘッドランプをつけながら少し歩いたところで雪がつながってきたため、モードチェンジ。ここからはスキーにシールをつけて登っていきます。昨日と違い、荷物が大幅に軽くなったので、気持ちもラクチンです。日が出てしばらくすると、私たちが登っている斜面にも日が当たり始めました。するとそれまで硬かった雪も徐々に緩んできて登りやすくなってきました。

やっと遠くに、穂先が見えてきました。前を行く登山者の姿がゴマ粒のようですが、歩を進めればあの場所に着けることが現実味を帯びてきました。見えていてもなかなかたどり着かないので、心が折れそうになりながらも「もうすぐ、もうすぐ」と自分を励ましながら山頂を目指します。