■急流セクションは、まるで巨大なウォータスライダー
弁天港対岸の川原をスタートすると、開けた景色と開放的な空が広がり、適度で快適な瀬が続いていく。この区間は割と流れが速く瀬も多いんだが、基本的に天竜舟下り用に川底のイヤラシイ岩が撤去されているから、快適に下ることができるのだ。
やがて渓谷にかかるアーチ状の南原橋が見えてくると、次第に川幅が狭まっていき、水流も集中して勢いが加速する。そこが、この区間最大の難所である「鵞流峡(がりゅうきょう)」である。約1.5kmにわたっていくつも急流が現れ、もはや巨大なウォータースライダーだ。早い段階で沈(転覆)すれば、結構な距離を流されることになる。
流れ自体はストレートな瀬なので、パワー負けしないようにしっかりパドリングしていけば問題ないが、不安な人は必ず要所で上陸してスカウティング(下見)してから下るように。厳しそうなら無理せず、川原をポーテージ(ボートを担いで移動)しよう。
やがて赤い天竜橋を越えると、また元の広々とした世界にスポンって飛び出す。狭い峡谷でスリルを味わい、急に広大な空という優しさに包まれるというこのツンデレ感。これもまた、この川独特の楽しさである。