■雪崩以外にもリスクだらけの雪山(これからバックカントリーを楽しむ皆さんへ)

晴天だが強風吹き荒ぶ白馬乗鞍岳の斜面(国際山岳ガイド江本悠滋)

 バックカントリーに限らず、雪山の事故では雪崩によるものが報道されがちです。筆者自身、今まで失った山仲間、友人は雪崩によるものが多いです。しかし、それ以外にも道迷い・転滑落・負傷・低温による障害など、注意すべきリスクが数多くあります。さらに滑走を伴うことにより、登山より危険度が高くなる部分もあります。

 電波を発信・受信することで埋没者の発見につなげる(アバランチ)ビーコンなど、特殊な道具もいくつかあります。さらに冬山同様にセルフレスキュー、ビバークなどの装備も必要となります。どれも携行するのは当然ながら、それらは知識と練習なくしては正しく有効に機能させることができません。

 雪崩、その他のリスクに関してもですが、まずは危険に晒されないようにすることが一番です。そのためには知識や技術の研鑽を積み重ねたり、情報を収集することが求められます。「安全なところはない」ということを肝に銘じて、入山したら(家を出たら)的確な状況判断を続けるのが大切です。山のコンディションを読み解いて、十分に安全のマージンをとって楽しむことも、バックカントリーの魅力の一つだと思います。

 誰でも最初は初心者です。熟練した経験豊かな人に同行してもらうのも大事ですが、有事の際のセルフレスキューは、パーティー全体の練度が高い事が必要です。そんな中に入れたらラッキーですが、現実には難しいでしょう。また、経験は年数だけでは計れない事も念頭においておきましょう。登山同様、バックカントリースキー・スノーボードのガイドも多く存在しますので、まずは依頼して楽しむことから始めるのがいいでしょう。

優しく雪の積もった静かな森歩きもバックカントリーの魅力。つねに気持ちに余裕をもっていたい

 ここ最近のように大荒れの天気が続いているときは、確かに豊富なパウダースノーを存分に楽しめるチャンスではありますが、その分リスクも増大していることを忘れずに。「行くな」とは言えません。ただ、「どこに登りたい・ここを滑りたい」より、コンディションを慎重に見極めて楽しむ場所を選ぶのが大切です。その山のプロフィール、地形や降雪の履歴などを十分に吟味してください。無理をして本当に迷惑をかけるのは、あなたの事を大切に思ってくれている家族や仲間たち。さらに自分自身です。