コロナ禍を機に地方移住をする方も増えていますが、子育てのことを考えて思いとどまっている方も少なくないはず。実際に田舎の教育環境ってどうなのでしょう。

 大自然に囲まれた山奥に移住して10年、小学生の子どもを育てながら、子どもたちを自然で遊ばせるガイドとしても活動する、中川さんにお話を聞きました。

「子どもを自然の中で安全に遊ばせるカギ」は親にある? <前編>はこちら

◼️都会の遊びには、はじめからリスクがない

自然の中で子どもたちは、自ら考えて遊び始めます

 ゲームをはじめ、街中でする子どもの遊びは最初からとても効率的にできています。リスクが取り除かれた形(意図が明らか)で用意されていることがほとんどです。

 そんな遊びに慣れた子どもたちを自然豊かな森で遊ばせると、最初はどうやって遊ぼうか戸惑います。しかし、遊んでいるうちに好きに創造し、協力し合い、声を掛け合いながら自由に遊びに没頭します。

 都会暮らしについて僕がなんとなく思うのは、仕事も遊びも分業されすぎていること。遊びの責任やリスクまでも分業されているように感じます。分業されたリスクがすでに取り払われていて、当人も注意深く行動しなくて済む。とても楽ではありますが、自分で考えることができなくなるように思います。

 自然の中で遊ぶ際には、いつもより注意深く行動するようにすれば、子どもたちは夢中になって遊びつつも、周りに気をつけてリスクをコントロールする感覚が自然と身につきます。

◼️人口減少に起因するデメリット

年の近い友達が少ないのは、田舎暮らしのデメリットのひとつ

 とは言いつつ、うちの息子も親戚の家でテレビゲームをすると「また都会に出てゲームしたい!」と言いますし、「遊園地に行ってみたい!」とも言います。そんな時、田舎暮らしは都会との距離がデメリットになります。

 田舎で暮らしている子どもたちだからこそ、じつは森で遊んだ体験が減ってきているというのも事実。理由は人口減少です。近所に友達が少ないこと、統廃合で通う学校が遠くなって通学が送迎バスになり、学校以外で友達と遊べない子どもが増えています。もし、友達と遊びたいなら、親が友達の家まで送迎しないといけないのです。

 また、周りに豊かな自然の遊び場があるからと、一人で山に入って夕方まで遊ぶワイルドな子どもはそうそういません。案外、都会の方が自然体験のできる幼稚園やカルチャースクールがあるかもしれません。

 田舎は教育機関も選べないし、習い事も都会に行かないとできない。必然的にコミュニティも限られてくるし、少人数のコミュニティで育つことになります。コミュニティが限定されるのは、ママ友達も同じです。