■先月に続き半数が深刻な結果に
先月に続き、遭難の結果が重大な方が約半数の割合であった。亡くなられた方と重傷の方を合わせると11名(全21名のうち)と半数を上回っている。
・死亡3件の原因:滑落3名
・重症の8名の原因:滑落6名、転落1名、その他1名
先月は転倒からの重傷者が多かったが、今月は「滑落」の占める割合が、そのまま高エネルギー外傷につながり、「重傷・死亡」を押し上げている。また、昨年同時期(※)と比べても、遭難者数は倍以上に、重大な結果の割合も増加している。
※2021年9月:死亡1名、重傷2名(うち1名発病)、軽傷3名、無事救助3名
■秋ならではの遭難
山系別では南アルプス山系が多くを占めるが、夏季に多い主稜線と、低標高帯が約半々になっている。初秋では、3,000m峰から低標高帯まで行動が広がったことがみてとれる
・2,000m以上の山:6件(北岳3,193m:2件、農鳥岳3,026m:1件、横川岳2,478m:1件、仙水峠2,264m:1件、鞍掛山2,037m:1件)
・2,000m以下の山5件(尾白川渓谷:2件、七面山:2件、韮崎市内山中:1件)
秋ならではの入山では、「キノコ狩り:3件」と「渓流釣り:3件」があり、6名全員とも「滑落」が原因だった。(全国的に山岳渓流での釣りは10月から禁漁期間に入る河川が多い)
・キノコ狩り3名(全て単独):死亡2名・重症1名
・渓流釣り3名(単独2名、複数1名):重傷3名
これらは登山道以外を歩くため、捜索が困難になり救助までに時間がかかる可能性も高い。キノコ狩りや渓流釣りは2人以上で入山したいが、どうしても単独になってしまった場合には絶対に深追いしない、と心に固く決めている。が、それでも山では何が起こるかわからない。
いよいよ、高標高では初雪の便りも聞こえてきそうだ。日没もどんどん早くなっていく秋、今一度登山計画を見直して気を引き締めて登山を楽しみたい。