暖かく天候の安定した行楽日和が続いている。緊急事態宣言が解除された1ケ月間(9月26日~10月25日、山梨県警発表)の山岳遭難発生状況をもとに、山梨県在住の登山ガイドである渡辺佐智が、県警地域課へのインタビューを行い、事故データをもとに解説したい。

■2021年10月の山梨県の遭難

山系別遭難発生状況、富士山1件、御坂山系1件(竜ヶ岳)、南アルプス山系5件(北岳3件、日向山1件、市内の里山1件)、秩父山系7件(甲武信ヶ岳2件、瑞牆山4件、上野原市内林1件)、大菩薩・道志2件(九鬼山、高柄山)

 山梨県の10月の遭難件数は16件あり、先月の10件(同時期)に比べて増えた。全16件中、登山は10件、クライミング3件、キノコ狩り1件、狩猟1件、山林調査1件と、秋期に入り活動内容は多岐にわたった。期間後半は、南アルプス稜線が冠雪したためか北岳の事故がなくなり、秩父山系、大菩薩・道志で起きている。

■コロナ解除、東京・神奈川からの登山者が戻る

遭難者の居住地、東京7件、神奈川5件、千葉1件、埼玉1件、山梨1件、ほか国内2件『山梨県警発表、2021年9月26日~10月25日』

 遭難者の居住地を見ると、東京・神奈川からの登山者は全体の7割を占めた。9月の同時期(東京2件、神奈川1件)に比べると、大きく増加した。8月の同時期までさかのぼると、東京・神奈川は共に1件のため、緊急事態宣言が解除され人の動きが変わったことがよくわかる。山の賑わいを目にすると、観光業に従事する者としては人が戻ってきたのは嬉しい反面、複雑な気持ちになった。